もはや、オープンソースソフトウェア(OSS)なしに企業ITは考えられない。 そういっても過言ではないほど、OSSは情報システムに深く浸透してきた。 万能ではないが、利用企業が増えるにつれて確実に品質向上や、品ぞろえの拡充が進んでいる。 企業ITの中核技術の1つとして、OSSの現状を把握しておく意義は決して小さくない。
商用OSの対抗馬としてLinuxが脚光を浴びるようになってから10余年。オープンソースソフトウェア(OSS)は、かつて商用ソフトほぼ一色だった企業ITの姿を変えてきた。
東京証券取引所の株式売買システム「arrowhead」をはじめとするミッションクリティカルシステムでの利用例が珍しくなくなったLinuxは言うに及ばず、データベースやアプリケーションサーバー、サーバー仮想化にOSSを活用する動きも、企業規模を問わず広がっている。用途に応じて、OSSの提供からサポートまでを手がけるベンダーが登場したこともこの動きを後押ししている。
本誌読者を対象に2012年3月に実施した調査では、ユーザー企業に所属する読者の有効回答364件のうち、52%がOSSを利用しているとした(図1-1)。そのうち6割以上がOSに、5割以上がデータベースにOSSを採用している。
興味深いのは、基盤系のソフト以外でもOSSの採用が進みつつある点である。Linuxなどに比べて件数こそ少ないが、OSSを「利用している」と回答した190件のうち15%以上が、アクセスログ解析や運用管理にOSSを用いている実態が明らかになった。従業員数が1000人以下のユーザー企業の中には、グループウェアやeラーニング、ワークフロー管理、営業支援などのシステムをOSSで構築しているところもある。
商用ソフトの代替品から比類なき機能の実現へ
ここ2〜3年、企業ITにおいてOSSは急速に存在感を増してきた。1つの理由は、ベンダーが開発した商用ソフトに類を見ないOSSの登場だ。
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