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日立のクラウドにデータを置きつつアプリケーションをWindows Azureで展開

2012年5月11日(金)折川 忠弘(IT Leaders編集部)

日立製作所は2012年4月13日、日本マイクロソフトとクラウド事業において提携することを発表した。双方のクラウドサービスを連携し、海外展開を進める国内企業のクラウド活用を支援する。

日立製作所が国内のデータセンターから提供するクラウド「Harmonious Cloud」と、マイクロソフトが世界各地のデータセンターから提供する「Win-dows Azure Platform」を連携する。最大のメリットは、データを国内のデータセンターに保管しながら、世界規模のクラウドサービスを利用できることだ。例えば、Windows Azure上に販売管理システムを構築し、「見積もり」や「発注」といった機能をグローバルで利用しつつ、取引先情報や在庫情報といった実データは国内のHarmonious Cloud上で管理するといったシステム形態を採ることができる。

日立は“日本品質”のデータ堅牢性などを売り文句に自社クラウドを訴求しているが、世界規模の展開力やコストパフォーマンスでは外資の大規模クラウドプレーヤーに水をあけられている。一方、Windows資産を有効利用できることや規模の経済性などを優位点に挙げているマイクロソフトには「データを日本国内に置いておきたい」という声が依然として立ちはだかっていた。今回の提携で互いの“よいとこどり”を図り、新規顧客の開拓につなげる。

日立製品を活用しアクセス高速化や運用管理を支援

日立の既存製品を利用し、両クラウド間のアクセス最適化や運用の一元化も図る。例えば、Windows AzureからHarmonious Cloudにあるデータに高速にアクセスできるように日立の「WANアクセラレータ」を用意。回線の空き帯域を監視することで、効率的にデータを読み込めるようにする。

運用管理ソフト「JP1」を使い、両クラウドの管理一元化も目指す。ただし、世界に点在するマイクロソフトのデータセンター内のリソースを、JP1できめ細かく管理するのは難しく、リソースの利用状況を把握するなどの用途に絞られる。そのほか、ミドルウェア「Cosmi-nexus」をWindows Azureに適用し、Harmonious Cloud上に構築したアプリケーションを移植しやすくする。「今後は認証や暗号化技術などを取り入れ、機能を強化することを検討する」(情報・通信システムグループ 情報・通信システム社 ITサービス事業部 クラウド本部 担当本部長 高橋明男氏)。

両社が連携したサポート体制も用意する。海外拠点向けに現地語をサポートする問い合わせ窓口を設け、障害などに早期対応できるようにする。現地サポートと国内サポートが連携し、国内にいるシステム管理者にも障害状況を迅速に通知できる体制を整える。

富士通との事業提携より連携による強み打ち出すMS

マイクロソフトは2010年7月、富士通とクラウド事業における提携をすでに発表している。これは群馬県館林市にある富士通のデータセンターにWindows AzureやSQL Azureなどを用いたアプライアンスを導入し、国内向けにWindows Azureのサービスを提供するもの。今回の事業提携による内容とは異なる。

日本マイクロソフトの樋口泰行社長は、「今回の発表は、両クラウドを緊密に連携した点に価値がある。運用や保守においても両社共同による支援体制を整えている。その意味で、富士通との提携とは目的が異なる。今回の提携を機にグローバルに事業展開を図る企業をクラウドによってサポートしていきたい」と説明する。

図 両クラウドを連携し、国内にデータを保持したまま、海外のデータセンターからアプリケーションを利用できるようにする
図 両クラウドを連携し、国内にデータを保持したまま、海外のデータセンターからアプリケーションを利用できるようにする
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