IT基盤の構築や運用において、サーバーの仮想化は今やごく普通の手段になった。サポート切れのOSやミドルウェアを最新のサーバーで稼働できる、せいぜい20%〜30%といわれるサーバー資源の稼働率を大幅に高めることができるといった利点の一方で、大きな性能低下やトラブルを招く可能性はほぼ皆無になったから、それも当然だろう。
しかし「作用の陰に副作用あり」も、また事実だ。新規の仮想サーバーを容易に構築できるがゆえの無駄の発生、不用意に仮想サーバーを増やすことによる順調に稼働していた別サーバーの性能低下、といった問題である。それを嫌って仮想マシン数に制約をもうけたりすると、たとえば仮想化による物理サーバー投資額の削減効果を、仮想化ソフトなどへの投資が食いつぶすといった問題も生じかねない。
こうした状況をにらみ、アイ・アイ・エム(IIM、本社東京)は日本マイクロソフトのサーバー仮想化ソフト「Hyper-V」のパフォーマンス管理を行う「ES/1 NEO CS-Hyper-V」を発売した。仮想CPU数やメモリー、ディスクのサイズと実使用量、I/Oデバイスの使用率やレイテンシ、パケット数やネットワーク流量などを、グラフや統計情報の形で表示。平常時と最新状況の比較や、問題とみられる事柄への対処策を示す機能を備える(図)。
(1)標準管理プロトコルを使用して必要な情報をリモートで収集するため管理対象システムに負荷を与えない、(2)管理対象システムで稼働する各種ゲストOSの状況は「ES/1」の別製品で管理できるのでシステム全体のパフォーマンス分析や稼働状況管理ができる、(3)利用料は年額6000円からと低廉で導入の敷居を下げた、などが特徴。ES/1シリーズに共通する、パフォーマンス評価のロジックや、問題点や対応策の日本語表示も引き継いでいる。
IIMは、メインフレームやオープン系サーバーのパフォーマンス管理製品を提供してきた専業ベンダー。大手企業を中心にサーバー台数で2万台強の利用実績を持つ。仮想化ソフトに関しても2007年2月からVMware向けの「ES/1 NEO CS-VMware」を販売している。ここへ来てHyper-Vの導入事例が増加。要望が強まっているため、対応製品を販売することにした。今後2年間で100社の利用を見込んでいる。
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