【Special】

特別対談[エッジ企業のトップに聞く]スマートデバイス関連で技術力磨く OSSを第2の柱にビジネス高度化を支援

2012年10月1日(月)

ビジネスの機動力を高める上でスマートデバイスの活用に関心が高まっている。とはいえ、システムを具現化する際にどんなベンダーに協力を仰ぐべきかは悩みどころ。そんな問題意識のあるユーザー企業へのサービスを強化しようとしているのが、オープンストリームだ。同社の佐藤浩二社長は「スマートデバイスを活用すれば、その先にはオープンソースソフトの活用も出てくる」と語る。一体、どういうことか。佐藤社長に聞いた。(文中敬称略)Photo:的野 弘路

ゲスト

佐藤 浩二 氏
株式会社オープンストリーム 代表取締役社長
佐藤 浩二 氏
日本ユニシス、日本ヒューレット・パッカードを経て、2004年にオープンストリームに入社。2007年に社長に就任し、2008年に親会社の豆蔵ホールディングス取締役就任。現在、アクシスソフトの社長など6社のグループ会社役員を兼務。

インタビュアー

田口 潤

IT Leaders編集長
田口 潤


田口:一般企業向けのスマートデバイス活用ソリューションを強化しているそうですね。

佐藤:ええ、その通りです。スマートデバイス、つまりスマートフォンやタブレット端末の普及の勢いは私が言うまでもないことですが、企業における利活用、あるいは企業のWebサイトのスマートデバイス対応は、まだまだこれからです。理由は色々ありますが、その1つには、具現化するにあたって「どんなIT企業に協力を仰げばよいか分からない」ことにあると感じています。

田口:業務系システムなどで取引のあるIT企業では、不十分だと?

佐藤:私の知る範囲でという限定でお話しすると、「iPhoneアプリの開発ならできる」「Androidなら経験がある」という会社はたくさんあります。しかし多くのユーザー企業にとっては、それでは不十分なんですよ。

セキュリティや使い勝手、後々の運用はもちろん、時にはソーシャル系のテクノロジーとの連携といったことまでも視野に入れて、顧客が納得できる形に仕上げる実装技術が不可欠。そうした実力を持っている企業は限られており、当社はそこを1つの主戦場ととらえています。

提案内容の質向上に愚直に取り組み続ける

田口:相応の技術力やノウハウが必要になりますね。

佐藤:最新技術をキャッチアップする努力はもちろんのことですが、実際の案件の中で、顧客のニーズや課題を正しく理解し、どうやって応えていくかに知恵を絞る。そうして得た知見を蓄積・共有してきたことが当社の強みになっていると自負しています。

これまでの商談で積極的にアプローチしてきたのは、新興のネット企業や、大企業の事業部門です。スマートデバイスやソーシャルといった、今まさに躍動しているテクノロジーを貪欲に取り入れようとしているし、案件も短期間のうちに次々と出てきますからね。

田口:とはいえ、ライバルも多いのではないですか?

佐藤:そこは、提案力と技術力の勝負です。「こんなことができないか」という顧客の要望を、実際の形にする力とも言えるでしょうか。

業務システムとは異なりますが、こんな例もあります。スマートデバイスの普及により、電子書籍が一般的になりつつありますが、当社はある電子書籍サービスの開発にプロトタイプから参画し、開発を担当しました。そのほか、手元のAndroid端末でTwitter上で話題となっているテレビ番組を把握し、そのチャンネルに切り替えるリモコンアプリも開発しました。

田口:ずいぶん幅広い取り組みされているんですね。

佐藤:一般企業の業務システムにも言えることですが、要は顧客が何を実現したいのか、どんな問題を解決したいのかを正確に理解し、最適な解を提示することがもっとも重要なことです。

また当社としては、「元請け」になることにもこだわっています。顧客先と長い付き合いのベンダーさんがいて“出来レース”と分かっているコンペでも決して手を抜かない。提案内容の質を上げることを愚直に続けていれば小さな案件から受注できるようになります。我々の思いの下で仕事を全うできるのは喜びであり、成長にもつながります。

田口:スマートデバイスは機種が多様化していて大変な面はありませんか。

佐藤:企業システムを考えるとWin-dows Phoneも有力な選択肢となり得ますし、確かに多様化は加速します。ただし、当社としては端末固有の技術ではなく、HTML5やセキュリティといった汎用性があって、より付加価値に直結しやすい領域を極めていきたいですね。

データ分析や営業支援などOSS業務パッケージに注力

田口:その意味では、企業のコアとなる業務システムとの連携も欠かせないように思います。

佐藤:企業がスマートデバイスを導入する目的として「ビジネスの機動性を高める」ことがあると思います。とかくフロントエンドだけを議論しがちなのですが、業務システムがしっかりできていないと望むべくもありません。

そんな思いもあって、当社はOSS(オープンソースソフトウェア)パッケージの導入支援を第2の柱にすべく、4〜5年前から取り組んでいます。

田口:具体的にはどんな分野?

佐藤:最初に取り組んだのは、規模が比較的小さな企業に向いたERPの「Compiere」。昨年からは、営業支援の分野で「SugarCRM」にも乗り出しています。

現在、最も力を注いでいるのは大量で多様なデータの分析・蓄積基盤として知られる「Hadoop」です。BIの「Pentaho」もニーズが高いですね。

田口:すでに導入実績もあるのですか。

佐藤:ええ、あります。ただし、一方では真のソリューションとしてまだまだ磨きを掛けなければいけないとも感じています。Hadoopを例にとれば、ビジネスに具体的にどんな付加価値をもたらせるのか。それを顧客の立場で熱く語れるようにならなければいけません。今、全社を挙げて努力しています。

成長を支えるのは人材
だから投資は惜しまない

田口:そこは重要なポイントで、人材育成が大切に思います。

佐藤:おっしゃる通りです。「Javaができます」と言われても心に響きません。それで何を生み出すのか。顧客から言われたことだけをこなすのではなく、「この技術を適用すれば、こんな価値が生まれます」という絵を描ける人材でなければいけない。どんな業務案件もこなせるスーパー人材を求めようとまでは思いませんが、例えば高度なデータ分析業務とか、ある領域では絶対に他に負けないと言えるだけの“垂直型人材”を1人でも増やしていくことが必要だと思います。

田口:そのためには人への投資も必要ですね。

佐藤:人材に投資しても、どうせ育った頃に辞めてしまうから元が取れないなんて話を聞くこともありますが、私はそうは思いません。仮に、他社に転職することになったとしても、優秀な人材を輩出することができれば当社の価値も上がると考えたい。だから教育投資は惜しまない方針です。

基本的には、技術的な教育よりもビジネスサイドの能力向上を重視しています。2年前は中堅クラス以上の人たち、昨年は次世代の幹部候補生を対象とした教育を、コンサルティング会社と契約して実施しました。今年からは、その研修を受けた人たちが講師となり、他の社員を教えるという仕組みを作って取り組んでいます。

田口:海外のカンファレンスやイベントなどに参加したいという声があったら?

佐藤:ケースによりますが、行ってこいとお金を出します。9月にもプロジェクトマネジャーと技術的なマネジャーを韓国に派遣しました。

とにかくチャレンジがなければ、エンジニアも会社も成長しません。だから社員には常に新しいことに挑み続ける姿勢を持ってもらいたいし、またそれができる環境をこれからも用意していきます。時代が求める人材を育て、新しいITのマーケットを開拓していく。それが当社が目指す姿です。

関連記事

特別対談[エッジ企業のトップに聞く]スマートデバイス関連で技術力磨く OSSを第2の柱にビジネス高度化を支援ビジネスの機動力を高める上でスマートデバイスの活用に関心が高まっている。とはいえ、システムを具現化する際にどんなベンダーに協力を仰ぐべきかは悩みどころ。そんな問題意識のあるユーザー企業へのサービスを強化しようとしているのが、オープンストリームだ。同社の佐藤浩二社長は「スマートデバイスを活用すれば、その先にはオープンソースソフトの活用も出てくる」と語る。一体、どういうことか。佐藤社長に聞いた。(文中敬称略)Photo:的野 弘路

PAGE TOP