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【Special】

徹底討論! 顧客企業の取り組みに学ぶグローバル時代に求められるITアーキテクチャ、ITアーキテクトとは

2012年11月27日(火)

日本オラクルは2012年9月27日、「オラクル アーキテクト サミット」を開催した。 企業システムのグランドデザインを検討するアーキテクトを対象に、弾力性や柔軟性に富み、経営環境の変化にスピーディーに対応し得るIT基盤のあり方をテーマとするものだ。 当日の内容をレポートする。

徹底討論! 顧客企業の取り組みに学ぶグローバル時代に求められるITアーキテクチャ、ITアーキテクトとは 

少子高齢化、長引く円高不況などの影響で低迷する一方の国内市場。この状況を受けて多くの国内企業がいまや待ったなしのグローバル化を迫られている。1889年(明治22年)の設立から120年以上にわたる長い歴史を紡いできた繊維業界の老舗であるユニチカも同様だ。世界に市場を求めなければ、どれほど過去に成功を収めていようとも未来への道は閉ざされてしまう。

未来を予測する最善はそれを作ることー。アラン・ケイの有名な言葉を引用し、グループの総力を挙げてグローバル化に取り組んでいると語るのはユニチカ 情報システム部 部長 近藤寿和氏だ。国内企業のグローバル化を推進するためにITは、そしてITアーキテクトはどんな役割を担うべきなのか。

  • ユニチカ 情報システム部 部長 近藤寿和氏
  • NEC ITプラットフォームサービス事業部 シニアエキスパート 横山招生氏
  • 日本オラクル エンタープライズ・アーキテクト本部 本部長 岡嵜禎氏
  • NCデザイン&コンサルティング 代表取締役 早津俊秀氏(モデレータ)
ユニチカ
情報システム部 部長
近藤寿和氏

パネルディスカッションに先立ち、ユニチカのIT基幹システム刷新への取り組みについて近藤氏より説明が行われた。

1969年に導入したメインレーム、これがユニチカのIT基盤を80年代まで支えていたという。しかし90年代に入り、時代がオープン化へと変わっていくにつれ、メインフレームの老朽化によるシステム関連費用の高止まりが顕著になっていく。加えて「グループ全体の収益の半分以上は海外で上げるのが目標」(近藤氏)というユニチカだが、サイロ化した個社のシステムが乱立しており、グループ経営に必要な情報の収集に多大なコストと時間を要していた。

「いまや企業戦略としてITは不可欠の存在。新興国の台頭にはITが大きく貢献している。ITは企業管理のサブセットではなく、ビジネスのイネーブラとしての役割を果たすべきなのに、ユニチカでは未だ、できていない」(近藤氏)

ここで近藤氏を中心とする情報システム部は、中長期的な戦略視点に基づき、グループ全体にまたがる大幅なIT基幹システムの刷新をめざすことになる。まずは抜本的なコスト改善を図るため、ランニングコストの50%削減を目標に、グループ全体で共有できるSOA基盤アーキテクチャ(プレゼンテーション層、プロセス制御層、アプリケーション層、データ連携層、データ層で構成されるレイヤー構造のアーキテクチャ)の構築を図っている。

SOAを選択した理由として、「グランドデザインのアプローチを変えていく必要があった。業務の一連の流れを部品として捉え直し、適切な粒度で、要素を可能な限り単純化して組み合わせていくことで、システムにアジリティが生まれ、経営に資する基盤となり得る」と近藤氏。そのためにはモデリングの技法に習熟した優秀なアーキテクトを重要な人材として抱えること、ガバナンスを重要視することなどが欠かせないという。 

2年ほどかけてプライベート・クラウドを構築し、リソース管理や自動化を図った上で、グループの共有基盤として、プレゼンテーション層にはPortalを、プロセス制御層にはBPMとBAMを、サービス連携層とデータ連携層はESBを、データ層にはMDMを重要なテクノロジとして採用し、各事業部で差異化させる部分は共有基盤の上に構築するアプリケーションとして設計する方針を採っている。このとき「アプリケーションの設計において、Portal上に実装するプレゼンテーション層とビジネス・プロセスを実装するプロセス制御層、およびビジネス・ロジックを実装するアプリケーション層をできるだけ疎結合になるように留意するのがポイント」と近藤氏は述べている。 

こうすることで細かいイテレーションで改善を続けることが可能となり、PDCAサイクルが順調に回るようになるのが狙いだという。「業務部門や現場と一緒に考え、合意を取りながらPDCAをまわしていくのは簡単なことではない。だが、短いイテレーションの中で、モデリングをしながら動くものを見せていき、技術検証をかねたプロトタイプを開発していくことで、すこしずつ関係者との合意形成ができていく」と近藤氏。

繊維業界は現場の発言力が強く、下手すればIT部門は単なる"御用聞き"になりかねない。だがそのようなIT部門のままでは、グローバルでの激しい競争環境に勝ち残っていくことはもはや困難である。PDCAを短いサイクルで回すことで、複雑なITを少しずつ単純化でき、業務部門との経営戦略の共有がしやすくなる。IT部門が業務部門に寄り添いながら提案していくことで、経営に資するITへと近づいていく。

衆を闘わしむること寡を闘わしむるが如くするは、形名是なりー。近藤氏は説明の最後に孫子の言葉を引用している。大規模の軍隊で戦っているのに、小さな部隊を戦わせているかのように統率がとれているのは、情報伝達(形名)がうまくいっているから、という意味である。

情報共有の重要性は太古の昔からの共通認識であり、組織が大きくなればなるほど実現は難しい。"形名是なり"といえるようなIT基盤の構築こそが、国内企業のグローバル化成功のカギを握っている。ユニチカでは今年いっぱいをグランドデザインの期間にあて、来年度以降から本格的な要件定義のフェーズに入っていくという。

徹底討論! 顧客企業の取り組みに学ぶグローバル時代に求められるITアーキテクチャ、ITアーキテクトとは日本オラクルは2012年9月27日、「オラクル アーキテクト サミット」を開催した。 企業システムのグランドデザインを検討するアーキテクトを対象に、弾力性や柔軟性に富み、経営環境の変化にスピーディーに対応し得るIT基盤のあり方をテーマとするものだ。 当日の内容をレポートする。

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