[市場動向]

日立と富士通が垂直統合マシンを製品化、独自アプローチのベンチャーも─国産ベンダーの動きを概観する

“垂直統合マシン”の真実

2013年2月6日(水)IT Leaders編集部

Oracle、IBMにとどまらず、垂直統合マシンを市場投入する動きが広がっている。本パートでは、直近で動きのある国産ベンダー3社に焦点を絞って動向を見る。特徴あるベンチャー企業にも触れる。

日立製作所
Unified Compute Platform

日立製作所のUnified Compute Platform 写真4-1
日立製作所のUnified Compute Platform

日立製作所が2012年10月22日に発表したのが「Hitachi Unified Compute Platform(UCP)」だ。現状では、(1)IaaSプラットフォームの「UCP Pro for VMware vSphere」と、(2)PaaSプラットフォームの「UCP with OpenMiddleware」の2つのラインナップがある。同社製のサーバーとストレージ、それにネットワークや各種ソフトウェアを事前統合して提供する。仮想化レイヤー(ハイパーバイザー)はVMware vSphereである。

両モデルを見比べると運用管理ツールに違いがある。①に搭載するのが「UCP Director」。これはVMwareの仮想マシン(VM)管理ツール「vCenter」のプラグインとして機能する。仮想化レイヤーのみならず、物理サーバーやストレージも含めてvCenterの画面から一元的に管理する機能を備える。日立の運用管理ツールといえばJP1というイメージが強いが、本モデルは元々、日立の米国子会社(日立データシステムズ)が市場展開していたものを“逆輸入”したことが背景にある。「北米ではVMware製品のエンジニアが多く、使い慣れたvCenterで垂直統合マシン全体を管理したいというニーズが根強い」(システム基盤ソリューション部の吉村誠 担当部長)。

一方、日立本体主導で製品化を進めた②は、「JP1」や「Cosminexus」など同社のミドルウェア群を実装し、業務アプリケーションの実行基盤として提供する。実績に基づくテンプレートで運用管理の自動化・自律化を図るアプローチは他社と同様だ。

富士通
Integrated System HADatabase Ready

富士通のHA Database Ready 写真4-2
富士通のHA Database Ready

垂直統合マシンの展開ブランド「Dynamic Integrated System」の第1弾として、2012年12月に「Integrated System HA Database Ready」を発表したのが富士通だ。その名の通り、用途はデータベースマシンである。

データベースはPostgreSQL互換のSymfoware。同社のサーバー「PRIMERGY」、ストレージ「ETERNUS」、ネットワーク「SR-X」、運用管理ソフト「Systemwalker」、OSの「Red Hat Enterprise Linux」などを組み合わせている。

I/O性能を高めるために、データベースをPCIeのSSDで動かす方式を採用。「従来比で約20倍のトランザクション性能を出せるようになった」(IAサーバ事業本部の遠藤和彦本部長)とする。

富士通は同じカテゴリに属するオラクルの「Exadata」も扱う。この点では、同社製品の主要ターゲットは中堅企業で、大規模向けを想定するExadataとは市場が異なるとしている。

2013年には、ビジネスインテリジェンス(BI)を用途とする製品などラインナップを拡充していく方針だ。

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