小学生の頃の話。お袋が参観日にやってきたんだけど、教室に我が子の姿がない。それで先生が探し回ったら、図書室に独りこもっていたらしいんです。これは後になって聞かされたエピソードなのですが、本に夢中になると授業開始のベルさえも聞こえなくなる子供だったんでしょうね。三国志、ギリシャ神話、ラーマーヤナ…。当時、児童文学全集で読んだ作品は、今なお表紙の絵柄と共によく覚えています。
これまで多くの本を読んできた中で強く心動かされた1冊を挙げるなら「指輪物語」でしょうか。今手元にある古い文庫本の奥付を見ると昭和54年となっているので、大学に入りたてのころに買ったんじゃないかな。この作品、2000年代になってから映画化されてヒットしたので、原書は読まなくとも、その壮大なストーリーをご存じの方も多いことでしょう。
ホビットや人間、魔法使いなど、幾多の種族が展開するドラマには色々な解釈があると思いますが、私は「どんな存在にも必ず意味がある」ってことを強く感じます。何度も読み返す中で、その度に新たな発見があるし、より深いメッセージを感じ取ることができる。本当に名作だと思います。3部作の中編では、これでもかってぐらいに絶望的な立場に追い詰められるんだけど、それでも頑張る、行動を起こすってところには学ぶことが多々ありますね。
話が横道に逸れるんですが、1988〜89年に米国サンフランシスコに短期留学する機会を得ました。その時、地元のフットボールチーム、49ERSがシンシナティ・ベンガルズとスーパーボウルで戦いました。最後の攻防、いつも通りのプレーができずに窮地に立たされます。それでもクォーターバックの選手は動じることなく仲間を信じて実直にパスを投げ続ける。残りわずかの時間の中で神がかりのようなパスを成功させ、見事な逆転勝利を手にしたんです。鳥肌が立つ試合展開は、指輪物語のテーマに通じるような所もあり、それ以来、フットボールの大ファンになってしまいました。
本の話に戻りましょう。ジャンルを問わず色々読む方ではありますが、記憶に残るのはSFモノが多いかもしれませんね。古いところでは、アイザック・アシモフの「銀河帝国の興亡」とか、ロバート・ハインラインの「宇宙の戦士」とか。後者の中に描かれる甲殻兵器は、ガンダムシリーズにも大きな影響を与えていることで知られています。日本の作家では小松左京さんなんかが好きですね。
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