【Special】

【モバイル・エンジニア対談】多様化するスマート・デバイス──開発生産性を高める最善手とは

2013年5月30日(木)

解決の決め手は統合型のモバイル・アプリ基盤にあり スマート・デバイスの普及が急ピッチで進むなか、それをビジネスに生かすという機運が高まりを見せている。しかし一方で、アプリケーション開発の現場では、スマート・デバイスにおける機能や仕様、開発言語の多様性、あるいは進化/変化の早さに翻弄され、生産性をなかなか高められずにきたという。そうした課題を抜本的に解決するものとして、IBMから提供されているのが開発・実行基盤(MEAP:Mobile Enterprise Application Platform)の「IBM Worklight」であり、同製品を中心にモバイル・デバイス管理(MDM)の機能やバックエンド連携機能を追加した企業向け統合モバイル・プラットフォームが「IBM Mobile Foundation」である。ここでは、日本IBMの須江信洋氏と情報技術開発(tdi)の黒澤勇紀氏の2人が、それらの有用性について語り合う。2人はともに、企業でのモバイル活用/スマート・デバイス活用の領域でさまざまな案件に携わり、実績を上げてきたエキスパートだ。 ※この記事はCIO Online(2013年2月)に掲載されたコンテンツを転載したものです

須江信洋氏
須江信洋氏
日本IBM ソフトウェア事業 WebSphere事業部 クライアント・テクニカル・プロフェッショナル
2007年、日本IBMに入社。ソフトウェア事業部にてWebSphereのテクニカル・セールスを担当。2010年よりモバイル・ソリューションおよび関連製品のプロモーションを担当。講演/執筆活動も数多くこなす。

須江信洋氏
黒澤勇紀氏
情報技術開発(tdi)ソリューション事業部 ソリューション推進部 クラウドソリューション推進グループ
プロフィール2009年、情報技術開発に入社、開発部門にてプログラマーを担当。2011年よりモバイル・ソリューション関連製品のセールス・エンジニア、開発プロジェクトでのテクニカル・アーキテクトを担当している。

モバイル・アプリケーション開発が直面する課題

須江氏(以下敬称略):スマート・デバイスには、スマートフォンとタブレットの大きく2タイプがありますが、用途の幅広さから言っても、ビジネス端末として普及していくのはやはりタブレットでしょう。

アップルの「iPad」で爆発的な普及が始まったタブレットですが、今日では、「i Pad mini」やグーグルの「Nexus 7」など、持ち運びに便利な7インチ画面のタブレットが相次いで登場し、バリエーションを広げています。

また、Windows 8タブレットもいよいよ発売になり、既存のソフトウェア資産を生かしたいと考える企業の間で関心が高まっているようです。

このような状況を踏まえて考えると、今年はコンシューマー市場のみならず、業務システムの分野でもタブレットの普及が本格化すると言えそうですね。

黒澤氏(以下敬称略):私も同感です。ただ、アプリケーション開発の立場からすると、それは困った動きでもあるんです。なにしろ、タブレットではOSによって開発言語やツールキットが違ってきますから。例えば、iOSではObjective Cが、AndroidではJava が一般的に使われています。Objective CとJavaは言語仕様がかなり異なり、この2つの言語を等しく使いこなせる開発者はそれほど多くありません。加えて、画面サイズが端末ごとに違ってくるとなると、ユーザー・インタフェースも個別に設計しなければならなくなります。

要するに、ネイティブ開発でタブレット向けのアプリケーションを開発しようとすると、「アプリケーション数×デバイス数」のチーム体制を用意しなければならず、開発効率は極度に低下してしまうわけです。

須江:さらに、アプリケーションのグローバル展開を併せて考えるのであれば、新興国で普及が見込まれているTizenやFirefox OSベースのスマート・デバイスへの対応も図らなければならなくなります。BYOD(Bring Your Own Device)に象徴されるとおり、モバイル・デバイスの選択/活用の主導権は、ビジネスの領域でも企業/組織からユーザー個人へと確実にシフトしつつあります。そうしたアンコントローラブルな状況は、モバイル・アプリケーションの開発者にとってますます切実な問題となっていくでしょうね。

業務システムならではの要件を満たすには

須江:開発のターゲット・デバイスが特定できない状況でタブレットの業務利用を実現していくためには、「マルチデバイス対応」を前提にしたアプリケーション開発のアプローチが必要になるはずです。その意味でも、HTML5とJavaScriptをベースとした、デバイス非依存の開発プラットフォームに投資することが、リスクの最小化につながると考えています。

黒澤:なるほど。確かに、コンシューマー用途のシステムであれば、Webベースのサービスを提供することで大抵の問題は解決できますが、業務用途のシステムの場合、満たすべき(業務システムならではの)要件も多岐にわたりますし、Webベースの仕組みだけでは解決できない課題が数多く出てきます。例えば、電波状況の悪い地下鉄やビル内部、郊外などでは、オフラインで作業を継続できなければなりません。また、カメラやGPS、Bluetoothプリンタ、バーコード・スキャナなど、デバイス内蔵のハードウェアや周辺機器との連携も必要となります。さらに、警備や医療などのお客様からは、緊急連絡を対象者のデバイスにプッシュで通知したいといった要望を受けることもあります。

これらのニーズに対応するためには、やはりデバイス・ローカルで動くアプリケーションが必要になりますし、須江さんがおっしゃられたような開発アプローチが重要になると私も思います。

須江:業務システムならではの要件という意味では、セキュリティ対策やバックエンドシステムとの連携も不可欠になりますね。

黒澤:おっしゃるとおりです。例えば、セキュリティに関して言えば、I Dとパスワードによる単純なログイン制御だけでは不十分で、各種認証サーバ(LDAP、Active Directoryなど)との連携や複数サービスへのシングル・サインオンの実現、キャッシュ・データの暗号化など、業務やユーザーごとの個別要件を満たす必要が出てきます。これらはデバイス側のアプリケーションだけで実現できるものではなく、常にサーバ側のシステムと一体となった開発が必要です。

ですから、こうした一連のセキュリティ機能を、あらかじめフレームワークとして用意している開発プラットフォームが理想的ということになるわけです。

Worklightを活用した開発・展開・運用の効率化

須江:そうした要求を包括的に満たすMEAP(Mobile Enter prise Application Platform)が、まさにハイブリッド・アプリケーションの開発/ 実行基盤の「IBMWorklight」にほかなりません。

IBMがWorklightを買収し、自社ブランドで提供を始めたのは昨年6月からですが、製品自体はその2年以上前から市場で流通しており、金融機関のダイレクト・バンキング・システムの基盤としても活用されています。つまり、Worklightがフレームワークとして備えるセキュリティ機能の優秀性はすでに実証済みというわけです。

黒澤:実は当社(tdi)でも Worklightを利用させていただいており、モバイル・アプリケーションの生産性向上に役立てています。「レスポンシブ・デザイン」のコンセプトに基づいたマルチデバイス対応の機能である「Skin」はもちろん、アプリストアを介することなくモバイル・アプリケーションを更新できる「Direct Update」も非常に有用ですね。

とりわけ、昨今のモバイル・アプリケーション開発では、画面デザインや操作環境の実物をお客様に提示しながら、細部の調整を行っていくというプロトタイピング手法が主流となっています。この手法では、修正内容をいかに早くアプリケーションに反映させ、お客様に提示できるかが重要となりますが、更新ごとにいちいちアプリケーションを再ビルド、再配布しているのでは、時間がかかりすぎて話になりません。

それが、Direct Update機能を活用することで、お客様との対話の場で細部の修正を行い、即座にアプリケーションに反映させるといったことが可能になるのです。つまり、この機能は、アプリケーション展開後のメンテナンス作業を効率化するとともに、開発のスピードアップも実現しているということです。

須江:加えて、「アクティビティ・ロギング」の機能も活用をお勧めしたい機能の1つですね。この機能は、アプリケーションの「ボタンを押した」「画面を切り替えた」といったユーザー操作のイベントを捕捉し、サーバ側に自動的に伝える機能です。

これにより、ユーザーの行動把握といったマーケティング的な効果が得られるほか、開発したモバイル・アプリケーションの利用状況や使われ方をとらえ、そのROIを測定したり、ライフサイクルを見通したり、監査用の情報として活用することが可能になります。

黒澤:確かに、Webサービスであれば操作ログを簡単に取得できますが、モバイル・アプリケーションで同様のことを行おうとすると、個別の作り込みが大量に発生してしまうという問題がありました。そうした仕組みが標準で組み込まれているというのは、Worklightの大きなアドバンテージと言えますね。

tdiでは現在、Worklightハンズオン・セミナーの講師も担当させていただいていますが、さまざまな機会を通じて積極的にこの辺りの情報も発信していきたいと考えます。

須江:ご協力のほど、よろしくお願いします。

IBMとしてもWorklightには並々ならぬ力を注いでいます。Windows 8にも昨年12月時点で対応し、今年1月にはWindows Phone 8への対応を完了させています。また、iOS 6.1についてもベータ版の段階で検証を進め、リリース当日に対応しました。

モバイルをフロントエンドに据えた業務システム全体を、開発から展開、運用に至るすべてのフェーズでサポートしていくというのがIBMの基本的な姿勢です。このスタンスの下、Worklight/IBM Mobile Foundationについては引き続きタイムリーな機能拡張を図っていきます。Worklightの今後にどうかご期待ください。

須江氏と黒澤氏
「Worklightには業務用のモバイル・システム開発に必要な機能が組み込まれている。その実効性は高い」とともに力説する須江氏と黒澤氏

IBMでは皆様から寄せられるご質問にお答えする窓口をご用意しています。
ご質問やご要望がございましたら、下記窓口までお問い合わせください。

ソフトウェア・ダイレクト: http://www.ibm.com/software/jp/contactus/
0120-550-210
* 受付時間:平日9時30分から17時30分まで(12時から13時を除く)

【モバイル・エンジニア対談】多様化するスマート・デバイス──開発生産性を高める最善手とは解決の決め手は統合型のモバイル・アプリ基盤にあり スマート・デバイスの普及が急ピッチで進むなか、それをビジネスに生かすという機運が高まりを見せている。しかし一方で、アプリケーション開発の現場では、スマート・デバイスにおける機能や仕様、開発言語の多様性、あるいは進化/変化の早さに翻弄され、生産性をなかなか高められずにきたという。そうした課題を抜本的に解決するものとして、IBMから提供されているのが開発・実行基盤(MEAP:Mobile Enterprise Application Platform)の「IBM Worklight」であり、同製品を中心にモバイル・デバイス管理(MDM)の機能やバックエンド連携機能を追加した企業向け統合モバイル・プラットフォームが「IBM Mobile Foundation」である。ここでは、日本IBMの須江信洋氏と情報技術開発(tdi)の黒澤勇紀氏の2人が、それらの有用性について語り合う。2人はともに、企業でのモバイル活用/スマート・デバイス活用の領域でさまざまな案件に携わり、実績を上げてきたエキスパートだ。 ※この記事はCIO Online(2013年2月)に掲載されたコンテンツを転載したものです

PAGE TOP