[インタビュー]

「BYODは必然、すぐに体制を整えるべきだ」~米ガートナーのアナリストが指摘

2013年10月23日(水)田口 潤(IT Leaders編集部)

日本では依然として、私物端末の業務利用=BYODに慎重な企業が多い。米国ではどんな状況なのか。来日した米ガートナーの専門家、Ken Dulaney氏(副社長 兼 ディスティングウィッシュド・アナリスト)に聞いた。同氏は「BYODは必然。実践に必要な手段も整ってきている。企業は今すぐに体制を整備するべきだ」と言い切る。  

─米国企業のBYODに関する取り組み姿勢は?

企業として、正式に許可しているケースも、従業員が実践しているのを黙認するケースもあるが、当社の顧客企業の7割は何らかの形でBYODを取り入れている。特に在宅勤務制度を導入しているところは企業として実践している。当社の顧客の中心は大企業であり、端末を購入して配布する余裕のない小さい中小企業ではもっと多い。正確な数字ではないが、50%以上がBYODを実践しているだろう。

その理由の1つは、従業員が自分の作業環境をパーソナライズしたいと思うからだ。生産性を上げて時間を有効に使いたい。自分の好みのデバイスやサービスを使うのは必然であり、企業はそれをサポートする必要がある。2つ目は企業側の理由、つまりコストのプレッシャだ。企業は最新の高価格デバイスを社員に配布することはできない。実際、財政が厳しいカリフォルニア州政府は、携帯電話などモバイルデバイスの支給を止め、BYODに転換している。

支給する場合は、今なら例えばiPhone4Sになる。しかし社員は同5Sが欲しい。そこで衝突が起きる。解決するには社員に選択肢を提供することが必要で、BYODは必然になる。ガートナーも支給するのはiPhone4Sだ。最新機種を使いたい社員向けには、BYODをサポートしている。

─日本ではセキュリティが問題になる。米国ではどうか。

いつまでも、セキュリティを問題にする方が問題だ。実例を見せよう。(自分のスマートフォンを取り出して)これには私用と業務用を分離するソフトが入っている。イスラエルのCellrox製のハイパーバイザだ。ワンタッチで私用と業務用を切り替えられ、セキュリティと使い勝手を両立できる利点がある。ほかにもOpenpeakやGoodTechnologyといった製品がある。後者は、コンテナ技術によって暗号化された企業データ領域と個人使用の領域を分離する。セキュリティは少し弱いが、使い勝手に優れる。逆に使い勝手は今一歩だが、セキュリティが強固な製品もあり、選択肢は多い。

少し前の話だが、ホワイトハウス(大統領府)から、「セキュリティを完璧にしてiPadを使いたい。どうすればいいか」という問い合わせがあった。「それは不可能だ.セキュアではない」と答えたら、「どうしても使う必要がある」と(笑)。そこで「だったらアイソレートした環境を構築するべきだ」とアドバイスした。技術的な手段は整っている。

それに、そもそもスマートデバイスよりもPCなどの方が危険だ。BYODを躊躇する企業は、PCで何が起きているのかを認識していないのではないか。例えばFacebookは信頼できる環境とは言えず、したがってそれが使えるPCは信頼できない。パブリッククラウドもWi-Fi接続のインターネット利用も同様であり、この事実を認識して企業は考え方を変える必要がある。セキュリティを確保するには、どんなデバイスでもアイソレートが必要である。

─アイソレートするなどセキュリティ対策には、コストがかかる。通信料の負担なども含めて、どう考えるべきか。

まず企業は社員が選んだデバイスの方が生産性が上がることを実証する努力が必要だ。それができればセキュリティの費用は容認できる。現実に米国では、アイソレーション・ソフトなどセキュリティに関わる費用は企業が支払うことが多い。

通信費は通勤用の車のガソリン代と同様に会社支給が一般的だが、上限を決めて一定金額を手当の形で支給するケースもある。逆にすべて従業員に負担させる場合は、会社側がある程度のリスクを甘受しなければならない。音声通話に関しては(米国では)1つのSIMカードで2つの番号を使えるので、公私を分離できる。

─BYODを実践しないと何か問題が生じるか。

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