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スマートマシンの「Watson」を主力事業の1つに 米IBM、10億ドル超の投資と2000人の投入を表明

2014年1月10日(金)田口 潤(IT Leaders編集部)

「スマート・マシンは、これまでITがもたらした中で最も破壊的な変化を引き起こす。人がさらに効果的に力を発揮し、不可能を可能にさえするだろう」(米ガートナー)--。

図:Watson Groupが本部を置くニューヨークのビル

「スマート・マシンは、これまでITがもたらした中で最も破壊的な変化を引き起こす。人がさらに効果的に力を発揮し、不可能を可能にさえするだろう」(米ガートナー)--。

 この言葉を信じるかどうかはともかく、米IBMは2014年、スマート・マシン関連の事業拡大に舵を切ることを表明した。1月10日、同社は新たにWatson Groupという事業部門を新たに設置、事業拡大に向けて10億ドル(1040億円)以上を投資すると発表したのだ。ソフトウェア事業部門のトップを務めてきたマイケル・ローディン氏がWatson Groupを率いる。

 Watsonは、UIMA(Unstructured Information Management Architecture)と呼ぶ自然言語処理の仕組みに基づき、自然言語で記述された大量の文献や資料、調査データを蓄積し、専門家にアドバイスするシステムを作れるソフトウェア。機械学習や仮説生成機能も備える。

 例えばガン診療の領域への応用では、日々発生する関連論文や臨床データを蓄積。自然言語で患者の症状を入力すると、適切な治療法を確率付きで表示する。その治療法を推奨したロジックも提示できる。ベテランの医師でもすべての情報を集め、覚えることは不可能だが、それをサポートするわけだ。

 いわゆるエキスパート・システム、あるいはAI(人工知能)の試みの成果の一つだが、IBMは「システム自体はアドバイスに特化し、判断は人間が行う」という考えからAIとは呼ばず、コグニティブシステム(認知、認識するシステム)と呼んでいる。

 同時に、ビッグデータの延長線上にある機械学習のシステムでもある。2012年秋時点で、医療や金融、軍事など世界各国から100以上の共同研究開発の依頼があるとしていた(詳細は過去記事を参照)。2013年10月には、Watsonをサービスとして提供する「Watson Developers Cloud」を開始。これをさらに加速させるべく設置したのがWatson Groupである。

 同Groupはニューヨーク市の技術集積地区である「シリコン・アレー」に本部を置き、医療や金融、製薬、小売、旅行、通信など様々な業界の企業との共同研究・アプリケーション開発を進める。そのためにIBMの研究、サービス、ソフトウェア、システム各部門の専門家2000人を集結するという。

 一方、Watson Groupへの10億ドル超の投資には、同クラウドを利用してアプリケーションを開発するベンチャーへの投資、1億ドルが含まれる。つまり同GroupはWatsonをより使いやすくするツールや技術、あるいは人材を発掘するためのビジネス・インキュベータ役も担う。その一環として大学に対するカリキュラムの提供や資金助成を行う。

 IBMは、この事業により2015年に200億ドルの売上げを見込んでいる。IBMの新たなチャレンジがどんな成果を生み出すか、CIOなどITリーダーはウォッチする必要がありそうだ。

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