日本データマネジメント・コンソーシアム(JDMC)は、データ利活用の高度化において“他の模範となる活動”を実践している企業・機関を「データマネジメント賞」として選出した。大賞に選ばれたのは、大阪ガスと協和発酵キリンの2社である。
社内外のデータを活用しビジネスの高度化に活かす─。言葉にすれば簡単だが、いざ実践しようとなると幾つもの壁にぶち当たるのが常だ。サイロ化したシステムからどうやって目的のデータを取り揃えるか、データの質や鮮度をどう担保するか、活用推進体制をどう育むか、といった難問である。
問題意識を持つ担当者にとって参考材料となるのが、先進企業の取り組みだ。これといった正解がない中で、地道な努力を重ねてきた結果としての経験値やノウハウは、似たような悩みを抱える身にきっと役立つはずである。
では一体、国内にはどんな事例があるのか──。ベンチマークの有力候補となる取り組み事例がこのほど表彰された。データ利活用の高度化を啓蒙・推進する、日本データマネジメント・コンソーシアム(JDMC)が発表した「データマネジメント賞」がそれである。JDMC運営委員会の中に審査委員会を組織。評価の上で“他の模範となる活動”を実践している企業・機関を選出した。
第1回となる2014年データマネジメント賞の各賞と受賞企業は以下の通り。大賞を受賞したのは、大阪ガスと協和発酵キリンの2社である。
賞名 | 受賞企業名 |
大賞 | 大阪ガス株式会社 |
大賞 | 協和発酵キリン株式会社 |
データ統合賞 | 株式会社アルク |
データ統合賞 | 株式会社紀陽銀行 |
データクオリティ賞 | ソニー生命保険株式会社 |
データ基盤賞 | ソニー株式会社 |
メタデータ・ガバナンス賞 | 株式会社リクルートライフスタイル |
モデリング賞 | 該当なし |
人材育成賞 | 該当なし |
奨励賞 | 該当なし |
大阪ガスは、15年も前からデータ分析を専門に担う組織「ビジネスアナリシスセンター」を創り、試行錯誤を重ねながらデータ分析を日常業務に定着させてきた。技術基盤の検討・整備、データの一元化や品質維持といった側面でも弛まぬ努力を続けてきた結果として、歯車が密に噛み合った体制を整備。それが高い評価を得た。
協和発酵キリンは、個別システムの独立性と、システム全体の柔軟性を両立させるための独自のシステムアーキテクチャが評価対象となった。中核にあるのは、各種マスターを一元化した「マスターHUB」と、トランザクションデータを集約した「トランザクションHUB」。データ利活用を含むデータガバナンスの観点でも、秀でた取り組みとして今回の受賞につながった(関連記事:協和発酵キリンが描くクラウド時代の情報システム)。
他の賞においても、興味深い事例が並ぶ。各社の受賞理由に言及したリリースが発表されているので、詳細は参照されたい。なお、JDMCは2014年3月13日(木)に開催する年次カンファレンス「データマネジメント2014」で表彰式を執り行う。また当日は、大賞の2社を含む、ユーザー事例のセッションが多数企画されている。
IT Leadersは、大阪ガスならびに協和発酵キリンのセッションを中心に、後日、詳細をレポートする予定である。