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SQLからNoSQLまでフルレンジで提供、IBMがDBaaSの「Cloudant」を買収した意味とは?

2014年3月19日(水)田口 潤(IT Leaders編集部)

すでに旧聞に属するかも知れないが、今月5日に米IBMが発表した「DBaaSベンダーであるCloudantの買収契約締結」のニュースは、ITリーダーが押さえておくべきものの1つだろう。DBaaSとはDBMS as a Serviceの略で、データベースをサービスとして提供するもの。米IBMは、これを昨年買収したIaaSベンダーであるSoftLayer上で稼働させ、サービスとして提供する。

そもそもCloudantとは、一体どんなDBなのか。答をいえばIBMが得意とするRDB(リレーショナルデータベース)ではなく、NoSQLと呼ばれるDBの1つ「CouchDB」をベースに、使い勝手などを改良したものだ。NoSQLのDBにはキーバリューやグラフなどいくつかの方式があるが、CouchDBはドキュメントDBの代表格である(同じドキュメントDBとしてMongoDBも有名)。

ここでドキュメントDBとは「JSON形式のデータを管理するのに適したDB」のこと。そしてJSON形式とは、比較的よく知られたXML似たテキスト形式でデータを記述するものだ。その点ではXML DBと似ているが、XMLと比較するとデータ構造をよりシンプルに記述でき、人間にも理解しやすいという特徴がある(http://thinkit.co.jp/article/70/1/page/0/1)。しかもJSON=JavaScript Object Notationという正式名から明らかなように、JSONはJavaScriptのオブジェクト表記構文に準拠しており、「Ajax」というWebのコンテンツを動的に表現するためのデータ交換形式として、広く使われている。

Cloudantは、そのJSON形式データに加えて、単純なテキスト形式のデータや地理空間データを管理できる。つまり大量のセンサーデータやモバイル機器の位置データ、あるいはソーシャルデータなどを蓄積、処理するのに適している。コスト面で必ずしもRDBが向くとは言えない、これらのデータを扱うのに適するのがCloudantであり、それが「ITリーダーが押さえておくべきもの」と述べた理由だ。

多くのNoSQL DBと同じく、スケーラビリティや可用性を高めるために自動的にデータを複数のサーバー(データセンター)をまたがってレプリケート(複製)する機能を備える。加えて「Cloudant Sync」と呼ぶ機能によって、例えば遠隔にあるモバイル端末のアプリとデータ同期することもできるという。

IBMはこれを汎用のDBaaSとして提供する。今年2月の米国でのカンファレンスでIBMのソフトウェア担当上級副社長であるRobert LeBlanc氏は「Cloudantは一般企業向けとしては初めてのNoSQL DBサービスである。これにより、SQLからNoSQLまでフルレンジのDBサービスを提供できる」と述べている。

加えてIBMのモバイル・アプリ開発ソフトウェアである「Worklight」を使う開発者向けに提供する計画もある。「開発者は、構造化/非構造化を問わずさまざまなデータを含む、柔軟で信頼性が高く拡張性に優れたアプリケーションを迅速に開発できる」(発表リリース)。SoftLayer、Worklight、Cloudant。これらを組み合わせて相乗効果を狙っているかに見える。

しかもこれらだけではない。昨年、同社は「BlueMix」と呼ぶ、開発者向けのPaaSも発表している。今年1月には、日本でのソフトウェア事業戦略説明会で、DB/アナリティクス関連製品を含めた既存のソフトウェア製品すべてを、クラウドで利用可能にする意向も発表した。プライベートクラウド・マシンとしてのPureApplication Systemも含め、「Cloud First/Mobile First」に向けて急ピッチで動いているわけだ。これについて行く必要はないにせよ、IBMがどんな“絵”を示すのか要注目であることは確かだろう。

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