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【Impact2014レポート(後編)】Composable Businessのもう1つの面はデータ活用の「Actionable Insight」

2014年5月8日(木)田口 潤(IT Leaders編集部)

2014年4月27日~5月1日(現地時間)に米ラスベガスで開催された米IBMの年次カンファレンス「Impact2014」では、「ビジネスや事業に貢献するIT」に焦点が当てられた。「Be First!(1位になる!)」になるためのキーワードとして「Composable Business」を掲げ、具体的な手段としてPaaS(Platform as a Service)の「BlueMix」を強調した。カンファレンスの内容は、ITの方向性を考えるうえで、示唆に富むものだった。後編では、2日目の基調講演を中心に紹介する。

[基調講演2日目]
データは新たな天然資源、“掘削”や“精製”が必要

図1:Actionable Insight。大量の情報から起きていることを状況を含めて認識し、意思決定し、そして行動する。当たり前のことではあるが、ITなしには困難だ
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 初日の基調講演では、Composable Businessとその実現手段に焦点を合わせ、モバイルファーストを通じた取り組みの必然性を訴えた。2日目にスポットが当たったのは、Composable Businessのもう一つの側面である。それはデータ活用であり、IBMが発するキーワードは「Actionable Insight」である(図1)。直訳すれば「行動を可能にする洞察」だ。ビッグデータから仮説を導き、何らかのアクションを通じて検証するプロセスと言い換えられるだろう。

 Composable Businessの考え方に沿えば、状況に即応してビジネスや事業をコンポーズすることになる。そのためには、どんな方向にコンポーズすれば良いのか、なぜそうなのかを知る必要がある。それを裏付けるのがデータ活用の視点である。

図2:Actionable Insightを実践するためのツールの1つ「BlueInsight」の2つの機能
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 基調講演では、Actionable Insightというキーワードの提言にとどまらず、「BlueInsight」(開発コード名)と呼ぶBlueMixで稼働するツールをプレビューした。同ツールの中核機能は2つある。1つは「Data refinery」。企業内外にある大量のデータや情報の関係を整理し、優位なデータを探しやすくする。もう1つが「Catalyst insight」。分析の専門知識がないユーザーに対し、一定レベル以上の分析を可能にする(図2)。

 IBMのソフトウェアグループ上級副社長であるBob Picciano氏は、「データは新たな天然資源です。そのままでは使えず“掘削”や“精製”が必要です。Data refineryは、原油精製を自分手がけずともガソリンを使えるようにするようなもの。Catalyst insightは分析の浅いところを自動化し、人は重要な部分の掘り下げに専念できるようにします。いずれもActionable Insightをリアルタイムに導出するために、欠かせないものです」と説明する。

 これらの機能を用意したことから明らかなように、IBMはBlueMixの利用者に、プログラマやITエンジニアに加えて、ビジネスパーソンも想定している。これを示すかのように、2日目の基調講演ではユーザー企業が4社登壇し、事業担当のトップやCEO自らが、ビジネス面での価値を訴えた。

 まず、家電量販店のh.h. greggが登場し、モバイルによる顧客エンゲージメントの取り組みを説明した。WebSphereやWorklightといったIBM製品、およびIBMのパートナー企業であるPointSourceの協力で、モバイル経由の購入者数が30%、売上げが80%増加したという。同社上級副社長でeコマース担当のKevin Lyons氏は、「ただし売上げ増が目的ではなく、エンゲージメントが重要です。どう配送し、どう据え付けるか。そのラストワンマイルのエンゲージメントにも力を入れています」とした。

図3:DNA解析によるテーラーメイド医療に取り組むCoriell Life Sciences。IBMのクラウドソリューションを全面採用した
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 h.h. gregg以外はデータ活用の事例である。例えば、ヘルスケア関連ベンチャーCoriell Life SciencesのCEOであるScott Megill氏は、DNA解析によるテーラーメイド医療への取り組みについて説明した。IBMとの関係は、患者のDNAを元に調剤や処方の業務プロセスを自動化するために、SoftLayer上のBPMやCloudant(IBMが買収した分散DBMS)、CouchDBを使っていることだ(図3)。

 Megill氏によれば、「例えば80歳のある人は毎日、23種の薬を飲んでいます。米国民の死因の5番目が薬の副作用ですが、仮に副作用がなくても、服用している薬の半数は効いていません。朗報はDNAです。13年と27億ドルをかけ、2003年に人のDNAがすべて解析されました。当社はそれをテーラーメイド医療につなげています」。

 同社は現在、クラウドサービスとして提供される知識処理エンジンの「Watson」を活用。患者の投薬情報(量や服用時間)、患者の行動、複数の薬の相互作用なども考慮した、より高精度なテーラーメイド医療を目指している。Megill氏は、「10年前はこんなことは非現実的でした。今日ならば可能です」とした。

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