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「分散/複合アプリの性能管理を極限まで自動化」APM分野の注目株、米AppDynamicsの製品とは?

2014年5月23日(金)田口 潤(IT Leaders編集部)

「APIエコノミー」「DevOps」「アジャイル開発」といったキーワードで象徴される、部品の組み合わせによるシステム構築が増えている。そこで重要になる点の1つが、アプリケーション全体の性能管理である。例えばモバイルデバイスからアクセスする消費者から見て、レスポンスが4秒も5秒もかかってしまうようでは使ってもらえないからだ。このようなアプリケーションの性能問題に対処するツールの有力ベンダーである米AppDynamicsが日本に正式上陸した。

 米AppDynamicsは2年ほど前から、日本市場では代理店経由でソフトウェアを提供してきた。このほど、本格的に日本市場を開拓するべく、日本法人を設立した。とはいえ米IT企業が日本法人を設立するのは珍しくも何ともない話。珍しいというか、面白いのは同社の製品「AppDynamics Pro」である。

 AppDynamics Pro(ADP)は、一般にアプリケーションパフォーマンス管理(APM:Application Performance Management)と呼ばれるソフトウェアの1つだ。その特徴は、複数のシステムで構成される分散(複合)アプリケーション、特にWebアプリケーションのパフォーマンス管理に特化した点にある。

図1:米AppDynamics がシステム開発に持つ問題意識図1:米AppDynamics がシステム開発に持つ問題意識
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 例えば、ネットビジネスを手がけるために、クラウド上に構築したWebサイトに、自社のサーバーで稼働する顧客・在庫管理システムと、クレジットカード会社の決済システム、さらには物流会社のシステムを連携させるかもしれない。しかもWebサイト1つとっても、モノシリックな単一のシステムではなく、様々な部品から成っている。システム全体として見れば数百の要素で構成されることになる(図1)。

 こんなシステムを作る必要性は、今も多いが、これからもっと増えるだろう。安く、早く、かつビジネスに合わせて自在にシステムを進化させる必要性が高まっている以上、当然だ。

 AppDynamicsのジョディ・バンサルCEOは、「(多くのAPM製品は)サーバーとシステム基盤を主な対象としていた。レスポンスに問題がある場合、サーバー設定やDBMSをチューニングするアプローチだ。これに対し、ADPはトランザクションに着目し、その処理は上手く完了したのか、レスポンス時間などユーザー体験はどうだったのかを把握できる。すべてのトランザクションをモニタリングし分析できるので、(例外処理も含めて)アプリケーション全体を最適化できる」という。

図2:AppDynamics Pro(ADP)のロードマップ図2:AppDynamics Pro(ADP)のロードマップ
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 具体的には、JavaやPHPなどのバイトコード(中間言語のプログラムコード)、中間言語が存在しないパッケージ・ソフトの場合は呼び出しの部分にADPのコードを埋め込み、稼働状況をモニタリングする。対応可能な言語やソフトウェアは、図2のように幅広い。

 これを同社は「スマートコード・インスツルメンテーション」と呼んでいる。ここでインスツルメンテーションとは、性能やバグチェックのためプログラムコードにチェック用のコードを埋め込むことを指す。だが、プログラムコードのどの部分に埋め込むかによっては、全く無意味になったり、細かく埋め込みすぎると性能劣化につながったりと、難しい面が少なくない。

 ADPは、このインスツルメンテーションを自動で実行する。「インストール開始から1時間もあれば、アプリケーションを構成するソフトウェアのコード1行1行の動作を見られるようになる。1~2%のオーバーヘッドは生じるが、それは許される範囲だ」(バンサルCEO)。副作用に比べ、詳細にパフォーマンスをチェックできるだけではなく、アプリケーションを構成する要素の依存関係や、どの要素に時間がかかっているのかをモニターできる利点の方が大きいというわけである。

 こうして得られる大量の稼働データを分析する可視化のほか、ビジネス視点で性能を分析することもできる。具体的には「過去24時間で決済が完了しなかったために失った売上金額の合計は?」「この週末に購入されたグッズの数量は?」といった疑問に答えられる「Application Intelligence」と呼ぶ機能である。

 Application Intelligenceについて同社は、「ITがうまく稼働しているかどうかには意味がない。ビジネスに、収益に結びつけることこそが大切だ」(バンサルCEO)と主張する。だが、こうなるとAPMというよりBI(Business Intelligence)に近い。これは自動化されているわけではない。ADPが出力する情報とビジネス上の意味を紐付けることが必要なはずだが、いずれにせよ今のところユニークな注目製品であることは確かだろう。

 AppDynamicsは、今日的なアプリケーションのパフォーマンス管理に向く製品を提供することで、2008年設立と社歴がまだ浅いにもかかわらず急成長している。顧客には、米FedExや米JPモルガン・チェースなど1200社以上を抱える。「米ガートナーが提供するIT製品の指標『マジック・クワドラント(MQ)』において、APMの2011年版に当社は存在しなかった。だが、2012年版で名前が出て、2013年版ではトップになった」(バンサルCEO)。

 なお同社日本法人の名称は、アップダイナミクス ジャパン。中川 寛 氏が代表を務める。直販はせず、パートナー経由の販売のみだ。新日鉄住金ソリューションズ、丸紅情報システムズ、エッジスクウェア、バーチャルコミュニケーションがパートナーになっている。
 

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