Linux OSを搭載することを前提としたベアメタルのスイッチ機器を、ネットワールドが発売した。言い換えれば専用のネットワークOSを搭載しない、ホワイトボックス(裸)のスイッチ製品だ。そのメリットは何か?
(1) Facebook社が主導するOpen Compute Project (OCP)仕様に準拠、(2) Linuxが稼働し、OpenStackとの連携やSDN(ソフトウェア定義によるネットワーク)に対応、(3) 先進的な汎用ASICチップセットを採用することによる高性能かつ低遅延、低消費電力、そして(4) 一般的なイーサネットスイッチに比べ20%~70%の低価格…。
「ホンマかいな」と疑いたくなるネットワークスイッチ製品を、2014年7月24日、ネットワールドが発売した。開発元は台湾Quanta Computer社で、企業向けである「1000シリーズ」(1Gbps)のほかに、 データセンター事業者向けの「3000シリーズ」(10Gbps)と「5000シリーズ」(40Gbps)をラインアップする。
一般的なスイッチ製品と異なり、今回のQuanta製品はベアメタル、つまりハードウェアのみ。サーバーで言えば、OSがインストールされていない状態だ。そのためネットワークスイッチ用のLinuxをインストールして初めて、汎用のイーサネットスイッチとして動作する。
実際には、Cumulus Networks社やBigSwitch Networks社といったネットワーク用Linuxベンダーが提供するOSを使う。Quanta ComputerもSDNの構成要素の1つであるOpenFlowに対応した自社製OSを開発しており、8月にはネットワールドがこのOSを事前搭載した汎用スイッチを発売する予定だ。
このような構成にすることによって、いくつかの利点が生まれる。ネットワーク機器専用のOSではなく、LinuxベースのOSなので、多くのエンジニアが扱いやすくなることがその1つ。オペレーションコストの低減が期待できる。OpenStackなどOSSをベースにしたクラウドOSとの連携や、SDN対応も容易になるという。
ハードウェア面では、多くのメーカーが採用しているBroadcom社のTrident+(1000シリーズ、3000シリーズ)、あるいはTrident II(5000シリーズ)などの汎用ASICチップセットを搭載。OCPに準拠した形で高性能、低価格を実現した。価格はQuanta製OS搭載の1000シリーズ(10Base-T/100Base-TX/1000Base-T×48ポート、10GbE SFP+×2ポート搭載)が28万円、ベアメタルの5000シリーズ(40GbE QSFP+×32ポート搭載、PHYレス設計)が159万円(いずれも税別)。
実際に価格がどの程度安いかはさておき、企業ITの責任者から見ると、サーバーやストレージの影に隠れがちなネットワーク機器は、文字通り日進月歩。注意を払って技術や製品の動向をウォッチしておく必要がありそうだ。
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