[基礎から分かる『EDI再入門』〜グローバル企業のビジネス情報連携方法〜]

エコシステム時代にEDIがもたらすメリット:EDI再入門 第1回

2014年11月6日(木)Rochelle P. Cohen

ICTの普及に伴い、企業の取引方法は常に変化し続けています。EDI(Electronic Data Interchange:電子データ交換)や、XML(eXtensible Markup Language:拡張マークアップ言語)、オンラインカタログなど、B2B(企業間)の電子商取引(EC:Electronic Commerce)は、世界中の企業との間で、多くの利益をもたらすビジネスパートナーとのコミュニティの統合を可能にしています。今日のビジネス環境において、B2B統合はビジネス成功への鍵の1つです。多くの企業は、電子的に取引ができない企業とは、ビジネスをしたいとは考えないでしょう。

【この記事で習得できる内容】

・EDIのメリット


 米デトロイトに本社を置く、あるメーカーはEDIを使って日本のサプライヤーと取引しています。ある日、発注書を送信したところ、在庫が不足している品目が記載された電子ドキュメントが戻ってきました。そこで直ちに、ブラジルにある代替サプライヤーに発注書を送信し対処しました。これらすべてが、わずか数秒で完了します。EDIが可能にする高レベルの可視化は、ビジネスの成功には不可欠です。

人を介したドキュメント処理はスピードを落としエラーを生む

 これまで多くの企業が、電子メールやFAXをB2Bの通信網に統合してきました。しかし、これらのプロセスには依然として人による処理が含まれるため、時間がかかり、エラーが起こりやすくなります(図1)。郵送によるプロセスには改善をもたらしたものの、eコマースが持つパワーと機能が欠けているからです。

図1:手動によるドキュメント交換のプロセス図1:手動によるドキュメント交換のプロセス
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 手動のプロセスには、多くの紙や、人、そして時間が伴っています。郵便は遅く、紙のドキュメントは置き忘れたり紛失したりします。郵送されたり、FAXで受け取ったりしたドキュメントは、手動でコンピュータに再入力しなければならず、そうしたプロセスでは、しばしばエラーが発生します。

 電子メールもまた、電子的に送信されても、手動で入力しなければならない点は同じです。コンピュータアプリケーションは、必要なデータが電子メールのどこに配置されているかを知る方法がないからです。人を介することはドキュメント処理のスピードを落とし、エラーも引き起こします。

 1960年代、鉄道業は輸送する貨物についての情報を、より迅速で効率的に伝達できる方法を見つけなければなりませんでした。そして始めたのが、データを電子的に送信することです。電子的な交換情報の価値が広く認知され、1980年代の初めには、多くの企業が、コンピュータ間で標準フォーマットのビジネスドキュメントを電子的に交換するEDIを採用しました。

 当初、このEDIを利用できたのは、大型メインフレームを購入できた企業だけです。その後、PCやインターネットの登場により、EDIは企業規模にかかわらず利用できるようになったのです。

登場から30年を経た今もEDIはメリットを与え続けている

 EDIは、その登場から30年以上にわたり、企業間商取引の簡素化と向上を支援してきました(表1)。電子調達や、自動受信、電子インボイス、電子決済など、EDIのメリットを生かせるビジネスプロセスの範囲も拡大を続けています。

表1:EDIのマイルストーン表1:EDIのマイルストーン
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