[基礎から分かる『EDI再入門』〜グローバル企業のビジネス情報連携方法〜]

EDIドキュメントと最新のグローバル標準:EDI再入門 第5回

2015年1月8日(木)Rochelle P. Cohen

EDI(Electronic Data Interchange:電子データ)で扱うドキュメントは、簡単に言えば、紙の標準書式に書かれたドキュメントの電子版です。2つの企業が、同じEDI標準フォーマットを使ってビジネスドキュメントを作成することで、両社のコンピュータは同じ言語を“話せる”ことになります。コンピュータ同士が会話できる、すなわちEDIドキュメントを交換できれば、そのプロセスに人が介在する必要はありません。今回は、EDIドキュメントの業界標準について説明します。

【この記事で習得できる内容】

・EDI ドキュメントを交換する際の EDI 標準の意味合い
・調達から支払いまで、受注から入金まで、製造、物流、金融などのビジネスプロセスで最も一般的に使用される EDI ドキュメント


 世界では多くの EDI 標準が利用されています。北米で最も一般的に使用されている標準が「ANSI X12」です。北米以外の地域では「EDIFACT」がよく使割れています。

 XML(eXtensible Markup Language)がEDI標準であるかどうかについては、まだ混同があるようです。XML は、EDIの標準ではありません。XMLは、ANSIやEDIFACTで定義されたドキュメントを含め、ビジネスドキュメントを定義/構成する際に、企業に高い柔軟性を提供する強力な言語です。

 XMLとEDIの構造上の主な違いは、EDIがファイル内のデータの位置を決定する厳格なルールに基づくのに対し、XMLファイルのデータは特定の位置と結び付けられてはいない点です。

 代わりにXMLでは、「300」という数量値を示すのに「300 」といったタグによって識別するようになっています。そのためXMLファイルは、同内容を含むEDIファイルより、はるかに大きなサイズになります。電子部品業界などで利用されている「RosettaNet」などは、XML に基づくEDI標準です。

 一時、XMLがEDIに取って代わるとの声が高まりました。しかし、効率的でうまく機能するEDIに大きな投資をしてきた多くの企業は、「分かりきったことをやり直すこと」に、お金をかける必要がないことを理解しています。そのため、EDI は当面、ビジネス基盤の1つであり続けるでしょう。

 ANSIやEDIFACTは、あらゆる産業に適用できます。特定の業種の特別な要望に応えるために、「VICS」や「EANCOM」といったサブセットによって、業界固有の書式や、データ項目、ルールが定義されています。

 まず、現在最も一般的な EDI 標準である(1)ANSIと(2)EDIFACTの概要をみてみましょう。

(1)ANSI X12

 ANSI(American National Standard Institute:米国規格協会)は1979 年、「米国企業の競争力を確保するために、…(中略)…規範やガイドライン…(中略)…の作成、発布、使用を監督する」目的で設立されました。EDIに対しては、「ASC(認定基準委員会規準)X12」を形成し、産業間のビジネストランザクションにおける電子交換用の統一規格を定義しています。

 当初からANSI X12は、北米の異なる業種の企業を支援するために設計されました。今日では、世界中で何十万もの企業がX12を使用してビジネストランザクションを日々、交換しています。

 AIAGとVICSは、現在使用されているANSIサブセットの例です。

AIAG:北米の自動車産業向けにAIAG(Automotive Industry Action Group)が開発しました。

VICS:米国流通業界の標準化機構である「VICS(Voluntary Inter-industry Commerce Standard)が開発しました。何千もの百貨店、専門小売店、大型小売店、およびそれぞれのサプライヤーなど北米の総合流通小売企業が使用しています。

(2)UN/EDIFACT

 UN/EDIFACT(United Nations/Electronic Data Interchange For Administration, Commerce and Transport:行政、商業および運輸のための電子データ交換)は、国連の後援のもと、ANSIの情報を得て、国際ビジネスコミュニティに対応するために開発されました。欧州各国向けに複数のバーションがあり、今日の欧州企業で最も一般的に使用されています。

 EANCOMとODETTEは、現在使用されているEDIFACTサブセットの例です。

EANCOM:国際標準機関であるGS1(Global Standard One)が1987年に開発したUN/EDIFACTのサブセットです。主な利点は、世界中の商品を識別するための商品コードである欧州統一商品番号(EAN)を取り込めることです。企業が特定のサプライヤーが社内システムで使っている特定の品目コードを知らなくても、世界中のどこでもサプライヤーに品目を容易に注文できるため、国際貿易を促進できます。

 EANCOM は当初、小売業向けに開発されました。その後、利用業種が増え、UN/EDIFACTサブセットで最も広範囲に使用されるようになりました。現在では、ヘルスケア、建設業、出版業などの様々な業種で使われています。

ODETTE:欧州データ交換標準化検討組織(ODETTE)が、特に欧州の自動車業界向けに開発しました。

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