[市場動向]

商用ソフトも月額課金が主流に、インフォテリアが主力製品を月24万円で提供

2014年11月17日(月)田口 潤(IT Leaders編集部)

ソフト会社のインフォテリアが主力製品関して、一括ライセンス料金に加えて月額課金体系を加えると発表した。単にソフトベンダー1社の価格施策の変更に留まらず、大きな動きになる可能性を含んでいる。

 クラウドの利点はいくつかある。1つがシステム資源を自社資産ではなく、経費として処理できるようにすることだろう。IaaSを利用すればサーバーやストレージへの初期投資なしに、必要なIT基盤を調達できる。この時、ソフトウェアはどうか? SaaSはともかく、商用ソフトウェアは一括でのライセンス購入が主流だ。ユーザーから見れば中途半端な状況が続いている。

 そんな状況を変えようと、中堅ソフト会社のインフォテリアは主力製品のライセンス形態として、月額課金を追加すると発表した。データ連携ソフト「ASTERIA WARP」Standard版を月額24万円(保守サポート料込み)で提供する。同社の平野洋一郎社長は、「IaaSであるAmazon Web Service(AWS)やMicrosoft Azure、あるいはSaaSのSalesforceなど、クラウドサービスの利用は当たり前になった。それらと企業内のシステムを連携するASTERIAを従量制で提供して欲しいという声が増えていた。クラウドかどうかとは別に、変化対応という面でも企業のシステム資源は借りて利用することが主流になると見ている。月額料金は必然だった」と語る。12月中旬から20社あるパートナー企業を経由して月額課金で製品を提供する。

 ちなみに同製品の一括ライセンス価格は480万円。「わずか20ヵ月(480/24)でライセンス料と同じなら、購入する方が得なのでは」と思えるが、必ずしもそうではない。一括ライセンス版の場合、毎年のサポート料(ライセンス価格の15%)や「Designer」と呼ぶ開発ツールの料金(開発者一人あたり10万円)、ソフトウェア接続アダプタ(接続対象により無料~80万円)といった費用が別途必要になる。月額課金の料金にはこれらが含まれており、不要になれば解約できるメリットもある(図)。

図 インフォテリアの月額課金体系の概要
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 逆にインフォテリアにとっては大きな決断だったはずだ。同じ本数を販売したとしても年間の売上高は大きく減少するし、販売パートナー企業(同社は代理店経由の販売がメイン)へのインセンティブを見直す必要もある。前述した途中解約のリスクもある。これらは商用ソフトベンダーが従量課金に移行できない理由である。もっとも月額料金になればライセンス版にありがちな値引きはなくなる(少なくなる)可能性もあり、問題ばかりでもない。

 一方、インフォテリアはこの発表に合わせて、サイボウズのクラウドサービス「Kintone」のためのアダプタを発表した。Kintoneは他のソフトウェアとデータ連携するためのAPIを備えているが、それを使うにはAPIの知識やプログラミングが必要になる。「それなしでKintoneと他システムを連携させるのがアダプタ。メニュー選択やクリック、簡単な設定だけで必要なデータを取り込んだり、Kintoneからデータを抽出したりできる。データ形式の変換もできる」(インフォテリア)。11月26日からPoC(試験利用)向けの無償版を提供する予定だ。

 発表会に同席したサイボウズの青野慶久社長は、「企業のシステムの作り方が変わってきている。レゴブロックのように、Webシステムや経理システムなどをつなげて新しいシステムを作るのが当たり前になった。当社の事例でもERPをカスタマイズするのではなく、ASTERIA経由でKintoneとつなぐ作り方をするケースが出てきている」と、その利点を強調した。

 加えてこう話す。「音楽やテレビ、映画のコンテンツは、今では月額課金で聞き放題、見放題になってきている。つまりサブスクリプション化が進んでいる。企業向けソフトウェアもそれと無縁ではいられない。事実、ある金融業のユーザーはIT資産を償却型から経費型に転換するプロジェクトを進めている。これはベンダーにとっても本来、あるべき姿だ。顧客が満足してくれれば使い続けてくれる」。

 利用料とサポート料を月々支払うモデルは、毎年、高額の保守/サポート料金を支払わなければならないといった、一括課金のソフトウェアにつきまとうユーザーの不満を解消できる可能性もある。ソフトウェアの保守サポート料金という、経営会議などで説明しにくい費用に頭を悩ます企業は少なくないからだ。ユーザーとしては、こうしたソフトベンダーの動きを睨みつつ、ソフトウェアの調達ポリシーを見直すべき時かも知れない。

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