[新製品・サービス]

アドビがAcrobatの最新版、企業内外の文書交換プラットフォームを狙う

2015年3月18日(水)志度 昌宏(IT Leaders編集部)

米アドビシステムズ日本法人は2015年3月18日、都内で会見を開き、PDFファイルの編集ソフト「Adobe Acrobat」の最新版と、同ソフトと連携するクラウドサービス「Document Cloud」を全世界で発売すると発表した。電子署名サービスの「e-signサービス(旧EchoSign)」も用意し、契約書などを含む各種文書(Document)を企業内外でやり取りするためのプラットフォームの役割を狙う。

 Acrobatの最新版となるのは「Acrobat DC(Document Cloud)」。Document Cloudの投入に合わせ、これまでソフトウェア製品あるいはオンラインサービスとして提供してきたAcrobat関連機能を見直し、ソフトウェアとクラウドのそれぞれに機能を再配置した。

 PCやタブレットあるいはスマートフォンで動作するソフトと、クラウドサービスを組み合わせることで、モバイル環境での使い勝手や、企業ユースには不可欠な認証やセキュリティといったマネジメント機能の強化を図っている。

 Acrobat DCの発表に際し、エーザイ、小松製作所、清水建設、NTTコミュニケーションズの利用企業4社が、PDFを使った申請業務やモバイル環境への対応強化といった点を評価するコメントを出している。NTTコミュニケーションズは全社導入を決定したという。

図1:Acrobat DCの新ユーザーインタフェース図1:Acrobat DCの新ユーザーインタフェース
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 ソフトウェア製品としては、「Reader」「Standard」「Pro」の3製品を用意。モバイルでの利用を想定し、アイコンなどのUI(User Interface)も一新した(図1)。機能面では、PDF化した文書の再編集や、カメラやスキャナで読み込んだ紙の文書をPDFとして再利用するための機能を強化した。複数人で1つの文書を作成することや、既存文書のデジタル化といった用途を想定している。

 クラウドサービスとしては、個人も対象にする「Document Cloud」と企業向けの「Document Cloud for Enterprise」を用意する。いずれも20GBまでのストレージ容量を無償で提供する。旧Acrobat.comやEchoSignの機能も、Document Cloudに統合した。

 Document Cloud for Enterpriseでは、SSO(Single Sign On)や文書交換/共有のトラッキングといったセキュリティ関連機能や、企業内システムや外部のクラウドサービスなどと連携するためのAPIなどを提供する。

 ソフト製品とクラウドサービスの組み合わせでアドビが狙うのは、文書交換のプラットフォーム。1人または複数のスタッフが社内外を問わず1つの文書を継続して編集したり、契約書など企業活動の根幹をなす文書を社内外でやり取りしたりといった用途を想定している。

図2:e-sign機能を使った電子署名の利用例図2:e-sign機能を使った電子署名の利用例
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 例えば、契約書など署名が必要な文書のやり取りでは、e-signの機能を利用し、署名欄を設けたPDFを取引先に送付。先方が署名した文書をPDFとして受け取ることで、限られた時間内でも正式な契約を結べるようになる(図2)。紙の文書や郵送料の削減に加え、売上計上ルールの遵守など企業のガバナンス的にも有効だとしている。

 ただし、企業によっては既に文書共有の仕組みを構築していたり、セキュリティポリシーからクラウドなどの利用を制限していたりするケースがある。そのため、Acrobat DCでは、米MicrosoftのSharepointとの連携機能を強化。Document Cloudを利用しなくても、文書の同期やセキュリティの確保などを可能にしている。Microsoft製品以外とのコネクターも今後、拡充する。

 社内外での文書の共有に向けては、米DropBoxや米Boxといったオンラインストレージサービスが企業向け機能を強化しているほか、米MicrosoftがOffice356から、それらオンラインストレージサービスを利用できるようにするなど、競争が激しくなっている。モバイル管理ツールベンダーやセキュリティ関連ベンダーも、そのための機能強化を図っている。

 PDF文書も、元はOfficeなどで作成することを考えれば、暗号化ツールやオンラインストレージサービスなどを組み合わせれば、社内外でも安全に文書交換ができるとも考えられる。

 こうした指摘に対しアドビは、「PDFのメリットは、受信側の環境を問わず、確実に文書を届け閲覧できることにある。より広範囲に文書を交換することを考えれば、PDFを超える文書交換の仕組みはない」とする。

 ソフトウェア製品Acrobat DCの価格は、Standardが3万4800円、Proが5万4800円。月額利用料型のサブスクリプションモデルも用意し、それぞれ月額1380円と同1580円になる。Acrobat Readerは従来通り無償で提供する。製品/サービスともに、3月18日の発表から30日以内に提供する計画だ。

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