[デジタルビジネス時代の到来]

「破壊的な変化が日常に」
そんな時代を数字で理解する

2015年3月20日(金)田口 潤(IT Leaders編集部)

ソーシャル、モバイル、クラウド、ビッグデータ。頭文字から「SMBC」と呼ばれるこれらの技術は、デジタルビジネス時代を象徴する。一方、5万倍、100%超、500億、2045…といった数字もある。これらはデジタルビジネス時代を理解するための“キーナンバー”だ。

 「ICTが経営に影響する? 多少はあると思いますが、必要な投資はしているし大丈夫」「ICTで事業を伸ばせるのはネット企業とか、一般企業ではせいぜい小売業の話でしょ」「ICTも大事かもしれないけど、肝心なのは製品やサービスの優秀さや人だろう」…。ICTについて、こんな疑問や考えを持っている人は少なくないはずだ。

 一方で、こう考えている方もいるかもしれない。「スマートフォンだけでなく、ウェアラブル機器とか、あるいは車の情報化とか、消費者向けのICTは次から次へいろいろなモノが出てくるね」「アマゾンや楽天のようなサービスは便利だし、金融サービスや旅行の予約もほとんどネットでできる。どこまで便利になるんだろう」「人工知能とか、学習するソフトウェアができているらしい。ロボットと結びついたら、人の代わりに作業してくれるかも」。

 一体、どちらが正しいのか。正解はさておき、後者の意識を持つことが大切だろう。今はデジタル革命の初期段階だが、すでに多くの変革が起きている。これからもっと多くのことが起きるからである。「その革命は20年以上続く長い旅路だ。今はまだ数年であり、長く見ても6,7年目に過ぎない」(米Goldman Sachsのアナリスト)。ここではいくつかの「数字」を軸に、そのことを考えていこう。

数字1 50000倍
──20年前と比べたICTの価格性能比

 「1992年から2012年の20年間に、コンピュータの心臓部であるCPUの価格性能比は何倍になったか?」。この問いへの答を考えてほしい。10倍、あるいは1000倍だろうか? CPUはデジタル技術そのものであり、デフレの時代が続いていることから、相当高まったことは間違いない。答えはなんと5万倍である。情報を蓄積するストレージ、情報を伝達するネットワークの価格性能比も同様だ。

 同じ性能のものの価格が5万分の1になるインパクトは大きい。5億円だったものが1万円になったことを意味し、ここまで安くなれば広く普及し、用途も広がる。高嶺の花だった自動車電話が携帯電話に、スマートフォンになり、誰もが利用できるようになった。よく知られていることだが、現在のスマホの性能は20年前のスーパーコンピュータのそれを上回る。身の回りの、オフィスの、工場の、公共インフラの、様々なところにICTデバイスが装備され、ネットにつながる。

 量だけではない。質=社会やビジネスのあり方も確実に変わる。交通機関のチケットを窓口で買う機会は激減した。金融商品も同じ道を辿っている。しかもまだ始まりに過ぎない。図1のグラフは縦軸が対数(エクスポーネンシャル)であり、指数関数的に価格性能比が高まっているからだ。つまりICTの費用は加速度がついてゼロに近づいていく。そうなれば何が起きるだろうか?

図1 コンピューティングコストは年を追うごとに下落している(出典:Kleiner Perkins Caufield Byersが2014年5月に公開した「Internet Trends2014」から )
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数字2 100%超
──世界のモバイルデバイス普及率

 2014年、スマートフォンを含むモバイル機器の普及台数は世界人口73億人に対し、単純計算で1人1台を上回った。大半がフューチャーフォンと呼ばれる従来型の携帯電話。それでもアフリカではケニアを中心に、資金送金や決済「M-Pesa」が広がる。携帯がお金の流れを変えつつある。ネット接続が可能なスマートフォンの普及も急ピッチだ。2000円も出せば買える格安スマホのおかげもあって、2013年には25億台に達した。

 こうしたデバイスの普及が従来の常識を変える。有名な話がある。米国の有力大学は競って、誰もが無料で参加できるオンラインの講座「MOOC(ムーク)」を提供している。そんな中、米マサチューセッツ工科大学(MIT)のMOOCでモンゴルの高校生が満点を獲得した。MITは奨学金付きで彼を招聘し、教育・研究にあたらせているのだ。「73億人の中には天才も秀才もいる。仮に0.1%(1000人に1人)としよう。モバイルはそうした人材の発掘を可能にする。それを実践した企業や国が優位に立つことは間違いない。このことに、なぜ皆がもっとエキサイトして取り組まないのか、不思議である」(米X PRIZE財団CEOのPeter Diamandis氏)。

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