[真のグローバルリーダーになるために]

【第7回】日本人は「日本の精神」を忘れてしまっている

2015年4月3日(金)海野 惠一(スウィングバイ代表取締役社長)

香港での商談を前に、日本ITCソリューション課長の佐々木は、山下塾の木元塾頭が話していた真のグローバルリーダーの要件を思い出していた。グローバルな出来事を議論するには、日本の報道だけでは不十分だとの指摘である。そのため山下塾では世界のテーマを50のセッションを通して学ぶ。また真面目で正直な日本人は、表と裏を読み切れないという。そのうえで木元塾頭は、日本人が持つべき「日本の精神」について言及し始めた。

 「日本人は、“白か黒か”でしか判断しません。ですが中国では、信用の仕方を含め、様々な文化と習慣の中から、多くの人の判断は“灰色”です。日本人の判断の仕方には、『答えは一つしかない』という教育のあり方が影響しているのかもしれません。欧米や中国の教育では、答えの背後にあるプロセスのほうが、答えそのものよりも重要だと教えます。

 さて、グローバルリーダーになるための要件がもう1つあります。本人としての認識ともいえる『日本の精神』の体得です。世界の色々な事象や政治・経済・外交を勉強しても、自らの立ち位置が分からなければ、外国人との違いや距離を把握できません。日本の歴史と、そこでの登場人物を勉強しなければ、日本人としての『威厳』と『品格』は備わりません。

 日本人は日本の近代史を勉強していません。最大の理由の1つとして、大学受験のために歴史の勉強が1850年頃で終わってしまうことが挙げられます。清とイギリスの間で1840年から2年にわたって続いた阿片戦争あたりで、高校の勉強が終わってしまいます。ですから1894年の日清戦争や1904年の日露戦争、その後の大東亜戦争のことをほとんど知らないのです。

日本人が戦前は欠かさなかった「読み、書き、そろばん」。「読み」は論語、「書き」は書道である日本人が戦前は欠かさなかった「読み、書き、そろばん」。「読み」は論語、「書き」は書道である
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 それだけではありません。敗戦により、日本人が戦前行っていた『読み、書き、そろばん』のうち、『読み』を捨ててしまいました。これはアメリカ軍の占領政策に起因しているのかもしれません。かつて日本人の精神文化には教育勅語がありましたが、形だけの道徳教育を残したものの、そもそも日本人とは誰だったのかという教育を捨ててしまいました。ですから日本人は、日本人としてのアイデンティティを持っている人が、ほとんどいません。

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