[真のグローバルリーダーになるために]

【第8回】欧米型スキル中心の研修だけではグローバルリーダーになれない

2015年4月17日(金)海野 惠一(スウィングバイ 代表取締役社長)

山下塾の木元塾頭が指摘する真のグローバルリーダーの要件とは。日本ITCソリューション課長の佐々木は、香港での商談を前に、その内容を反芻していた。グローバルな話題についていくには、日本の報道に頼っているだけではだめだという話だったが、木本塾頭は、日本人が持つべき「日本の精神」について言及し始め、古典などを暗唱した「読み」や近代史の勉強が必須だという。当時、佐々木は「まるでグローバル化の否定派が発する意見のようだ」と感じたのを思い出した。

 「私から見れば、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)は日本を海外の情報から孤立させ、日本人の儒教の精神を骨抜きにしてしまったのです。その時に失ってしまったものは何だったのかを今、改めて問う必要があります。

 同じ敗戦国でもドイツは、戦後15年の沈黙の後は、ベルリンの壁が崩壊される1990年ごろまでの30年間にわたり『ドイツ人とは何か』というアイデンティティを議論しています。そうした議論を日本人はしていません。むしろ戦後は、それまでの考え方や精神を180度転換してしまっています。転換させるべきではないものまで転換させてしまったところに問題があるのです。

 なぜ日本人が、そこまで過去の歴史を突然、捨て去ってしまったのかは分かりません。ですが、いずれにしても日本人は、日本人としてのアイデンティティを持てなくなっているのです。

図1:アイデンティティなしに日中韓の問題は解けない図1:アイデンティティなしに日中韓の問題は解けない
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 だから、日中や日韓の政治問題で歴史を取り上げられても、ほとんどの日本人はそれに応えられません(図1)。政治家も、大東亜戦争のことでは何でもかんでも謝罪してきました。それは、日本人とは誰だったのか、何をしてきたのか、どういう民族なのかというアイデンティティを今の日本人が考えていないからです。

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