[調査・レポート]

NoSQLの活用機運が高まるも、スキルやサポート体制に不安─ITR

2015年5月12日(火)IT Leaders編集部

IT市場調査会社のアイ・ティ・アール(ITR)は2015年5月12日、NoSQLの利用動向に関する調査結果の一部を発表した。現在、NoSQLの普及フェーズは黎明期にあるが、今後、企業による取り組みの活発化が進んでいくと同社は見ている。

 ITRは2015年3月、従業員数が100名以上でビッグデータを活用した分析・解析を実施している国内ユーザー企業のデータベース管理担当者を対象にNoSQLの利用動向に関する調査を実施。197件の有効回答を得ている。

 まず、NoSQLに対して何を期待しているかを尋ねたところ、「クエリ(検索)処理性能の向上」が最も高い割合となり、性能向上に関する回答が上位を占めた。また、「非構造化データの処理のしやすさ」「パフォーマンスチューニングの簡素化」といったNoSQLの機能的な特徴への回答は、2割前後にとどまったという。

 この結果から、「多くの企業が、データ量増大に伴うRDBMSの処理性能低下の問題をNoSQLによって改善できるかもしれないという期待を寄せている」とITRでは見ている。

図1:NoSQLに対する期待(出典:ITR)

 次に、NoSQLに対する企業の取り組み状況を尋ねたところ、「NoSQLについて幅広く情報収集をしている」が51.7%と最も高い割合となった。また、「単一製品に対して動作確認を実施している」「複数製品に対して動作確認を実施している」への回答はともに30%程度、「補完的ではあるがすでに一部の業務に適用している」は11.2%、「すでに業務に導入し、日々運用を行っている」は4.9%となった。

 この結果から、「国内企業のNoSQLへの取り組みは、現状では情報収集が主であり、一部の企業が機能確認や動作検証を開始しているという黎明期である」とITRは分析。また、今回、「特に何もしていない」と回答した割合が6.3%だったことから、今後、企業におけるNoSQLへの取り組みが進み、活用機会が増えていく可能性を予測している。

図2:NoSQLに対する企業の取り組み状況(出典:ITR)

 調査では、今後利用したいと考えるNoSQL製品についても聞いている。結果では、独立したベンダーが提供するNoSQL製品よりも、マイクロソフトやグーグル、オラクル、アマゾン ウェブ サービスといった、大手クラウド/ソフトウェアベンダーの製品のほうが高い割合となった。なお、グラフにある「Apache HBase」はオープンソース製品だが、主要なHadoopディストリビューターが商用製品へのバンドルのかたちで提供している。

 今後の利用意欲において、独立系のNoSQLが大手クラウドベンダーの製品におくれを取っている主な原因について、ITRは、「多くの企業がNoSQLに対する取り組みを開始したばかりで製品やサービスに対する十分なスキルを蓄積していないために、ベンダーからのサポートを必要としていること」と、「テスト利用段階であるために、専用のハードウェア環境を用意することなく利用可能なクラウド製品を選択したいと考えていること」の2点を挙げている。

図3:今後利用したいNoSQL製品(出典:ITR)

 ITRは、今後、NoSQLに対して、機能や性能に関する評価や検証を行う企業が増加することが見込まれるとしながらも、現状の課題を指摘している。同社によると、MongoDBやDataStaxといったNoSQL製品ベンダーは日本法人を設けておらず、大手SIベンダーの取り組みも少なく、ユーザーコミュニティ主体のサポートが行われているのが現状という。

 「Webサービス事業者やオンラインゲーム事業者のように、多くの開発エンジニアを抱え、オープンソース製品の利用に慣れている企業だけでなく、一般的な企業でも利用されるようになるためには、製品ベンダーやSIベンダーから、RDBMSと同様なレベルのサポートサービスを受けられる環境が整う必要がある」(ITR)

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