[シリコンバレー最前線]

クラウド対応が明暗分ける米IT業界、投資会社や政界もクラウドの“波乗り”に熱心

2015年5月14日(木)山谷 正己(米Just Skill 社長)

クラウドコンピューティングの普及により、米国のIT業界は大きく様変わりしつつある。クラウドの波に乗った企業と、乗り切れていない企業の差が顕著になってきた。自力ではクラウドベースのソフトウェアを開発できないことを自覚した企業は、クラウド系スタートアップ企業の買収に勤しんでいる。

 これまでもIT業界では、大型から小型へ、集中から分散へといったパラダイムシフトが数回起こっている。しかし、それらはすべて2次元におけるシフトだった。今回のクラウドコンピューティングはITの“3次元”への変革である。ソフトウェア技術者から営業担当者、そして経営者までが、3次元思考に頭を切り替えるには相当の時間がかかる。

図1:明暗を分ける主なITベンダーの過去1年間の売上成長率図1:明暗を分ける主なITベンダーの過去1年間の売上成長率
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 この頭の切り替え時間をどれだけ短縮し先取りできるかが、これからのIT業界の勝者を決める。このことは、クラウドの波に乗っている米国企業が、Amazon.comやGoogle、Salesforce.comといった企業であり、逆に乗り切れていない企業の多くが、25年以上の社歴を持つ老舗であることが示している(図1)。

 両者の差は、過去1年間の売上高の成長率に明確に表れている。なかでもHPとIBMの売上高は、この3年間、右肩下がりである。

クラウド系スタートアップ企業の買収合戦が加熱

 こうした背景から、クラウド分野のスタートアップ企業の買収合戦も熱を帯びている。老舗企業は、自力ではクラウドを開発できないが、これまでに稼いできた資金を糧に、競ってスタートアップを買収して後れを取り戻そうとするからだ(表1)。

表1:クラウド関連のスタートアップ企業の買収例が増えている表1:クラウド関連のスタートアップ企業の買収例が増えている
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 スタートアップにしても、VC(Venture Capital:ベンチャーキャピタル)から巨額の投資を受けてきたにも拘わらず、資金不足や営業力不足のため、身売りすることになる。彼らは老舗企業の格好の買い物になる。

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