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NEC、日本の製造業に向けたIoTプラットフォームを発表

2015年6月17日(水)杉田 悟(IT Leaders編集部)

NECが2015年6月16日、「日本の製造業向け」」をうたったIoT(Internet of Things:モノのインターネット)ソリューション「NEC Industrial IoT」を発表した。製造現場で発生する部品や製品のデータを収集し、そのデータを分析、あるいはOT(Operational Technology)と連携させ、製品/サービスをスマート化する工程に、NECが独自に開発した技術を盛り込みことで他社との差異化を図る。2012年から展開してきた「ものづくり共創プログラム」の一環として提供する。

図1:「NEC Industrial IoT」が提供する機能とサービス図1:「NEC Industrial IoT」が提供する機能とサービス
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 「NEC Industrial IoT」のベースになるのは、製造業のIoT(Internet of Things:モノのインターネット)向けにカスタマイズしたM2M(Machine to Machine)ソリューション「CONNEXIVE(コネクシブ)」。これを中核に、SDN(Software Defined Network)やセキュリティ、大量画像の圧縮・管理技術、インダストリアルPC、近距離無線技術、イーサネットを使ってコンピュータの構成を拡張する独自技術「ExpEther(エクスプレスイーサ)で構成する(図1)。

 このプラットフォーム上に、各種の情報の収集、分析、制御のための独自技術や業務ソリューションを搭載することで、製造する製品のスマート化を可能にする。

 収集工程に提供するNECの独自技術は、世界初の「物体指紋認証技術」。部品の表面の凹凸の違いを画像認識技術によって把握することで区別する。6ミリ角で約1億個の個体を識別できるという。ネジなどの小さな部品のトレーサビリティを確保するには通常、1つひとつにタグを貼り付けて個体を識別するといった仕組みが必要になる。

 収集工程では、計器表示版の文字をカメラで読み取る「映像文字認識技術」や、AR(Augmented Reality=拡張現実)を活用して作業性向上や未熟練者をサポートするウェアラブル端末などを提供する。

 分析工程では、ビッグデータ向け機械学習技術を分析エンジンに搭載する。「異種混合学習」は、膨大なデータから複数の規則性を自動発見し、参照すべき予測式を自動で選択する技術。「インバリアント分析」は、大量のセンサーデータからセンサー間の不変関係(インバリアント)をモデル化し、リアルタイムデータと比較することで「いつもと違う動き」を検出する技術である。これらの技術は、NECによれば世界初だという。

 「RAPID機械学習」は、映像、音、テキストなどのデータを、人間のように認識する技術で、多種多様なデータから大量に学習することで、ユーザーと商品の関連度を直接推論できる。「テキスト含意認識」は、主語や述語など文の構造から、2つの分が同じ意味を含んでいるかどうかを、高精度に判定する技術である。これら2つは、米国国立標準技術研究所(NIST)主催の評価タスクやコンテストで第1位を獲得している。

 制御工程では、NECのインダストリアルPCを中心に、ITとOT(制御技術)のシームレスな連携を図る。インダストリアルPCが異なる通信規格を吸収することで、タブレットやセンサー、カメラ、ロボットなど様々なデバイスとの接続やデータの収集を可能にする。工場内ネットワークには、SDNを適用し、生産ラインの変更に合わせた柔軟なネットワーク変更を可能にする。

 これら多種多様な技術を投入するNEC Industrial IoTだが、そのテクノロジースタックには、IoTアプリケーションの開発環境が見当たらない。例えば、米国で製造業に多くの導入実績を持つ米PTCのIoTプラットフォーム「ThingWorx」は、IoTアプリケーションを容易に開発できる環境が最大の売りにしている。米IBMがIoTプラットフォームに位置付ける「Bluemix」も本来はPaaS(Platform as a Service)であり、利用企業はIoT関連アプリケーションの開発に専念できることを強調している。

 では、なぜNEC Industrial IoTにはアプリケーション開発環境がないのか。この問に対し、同社第一製造業ソリューション部の関行秀 販売促進部長は、「CONNEXIVEはアプリケーション開発環境を備えているが、実際のアプリケーション開発はNECが担うため、あえて利用企業に見せる必要はないと判断した」と答える。つまり、アプリケーション開発環境はあるが、あえて「見せていない」ということだ。

 アプリケーショント開発を内製化している利用企業が多い米国市場とは異なり、開発のほとんどをITベンダーに依存している日本企業の実状に合わせたIoTプラットフォームが、NEC Industrial IoTであり、ここが「日本の製造業向け」というわけである。

 NEC Industrial IoTは、「NEC ものづくり共創プログラム」をベースに研究や実証を行っていく考え。同プログラムには現在、製造業562社が参加している。今後はIoTへの取り組みを推進力に、2015年度中に会員企業を1000社にまで拡大したい考えだ。NEC自身は、7月に30人体制の推進組織を設立し、本格的なマーケット拡大に取り組む。

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