[木内里美の是正勧告]

改革に取り組まないシステム部門に感じる苛立たしさ

2015年6月17日(水)木内 里美(オラン 代表取締役社長)

企業活動の中で大きなポテンシャルを持つはずのシステム部門。世の変化を睨みつつ改革を率先していくのに絶好のポジションにありながら、主導権を執れないシステム部門には共通点がある。改革に参画するために必要な力が圧倒的に不足しているのだ。

 企業の情報部門の役割が繰り返し問い直される中で、二極化の傾向が明らかに強くなっている。主体的に活動できる組織と、相変わらずベンダー依存度の高い組織である。前者は技術者の育成に熱心だし、積極的に情報システムの内製にも取り組む。ベンダーマネジメントもしっかりしてパートナーシップを構築している。人任せや丸投げの組織はその程度が加速し、自社の情報システムのグランドデザインを描けず、様々な体系化もできないままだコストだけを費やしている。そういうシステム組織が「社内で認知されない」だとか、「地位が低い」だとか言っても始まらない。

 情報システムは企業の業務プロセスもデータも扱う。事業や業務のコンピュータ依存度は高まるばかりだから、システム部門は企業活動の肝を握っているようなものだ。企業活動はいつも社会や制度など環境変化にさらされ、環境変化に合わせて柔軟に変革しながら最適を求めて行かなければ衰退する。しかも継続的に行わなければ活性しない。その改革を担うのに絶好のポジションにあるのがシステム部門だ。

改革に取り組むために必要な力とは?

 そんな立場でありながら、企業の改革活動に主導権を執れないシステム部門には共通点がある。改革に参画するために必要な力が不足しているのだ。必要な力は少なくとも4つある。

  1. 経営を俯瞰する力
  2. 事業や業務を深く理解する力
  3. 改革をデザインする力
  4. 影響を社内に及ぼす力

 経営を俯瞰するのにシステム部門が有利であることは言うまでもない。事業の仕組みが情報システムに組み込まれる時代だから、経営の根幹部分は情報システムから窺い知れる。それだけではない。最近はシステム部門が管理本部から経営本部などに移管されるなど体制を変える会社も多く、システム部門は各事業部門を横串で見ることができる。

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