[市場動向]

財布の中の領収書とおさらばする―電子帳簿保存法改正の動きとコンカーの取り組み

2015年6月24日(水)杉田 悟(IT Leaders編集部)

「財布の膨らみは領収書」−−。小学生の夏休みの宿題のように、たくさんの領収書をペタペタとのりで貼り付けて提出する経費精算書類。様々な分野で電子化が進む中、この生産性の悪い作業をどうにかしたいと考えている企業は少なくないはずだ。実はこの分野で、アベノミクスの「第三の矢」である規制緩和の動きがあることをご存じだろうか。規制緩和が進めば、財布の中身をすっきりできる日が来るという。現在、この動きを国に積極的に働きかけているのが、経費管理のクラウドソリューションを提供する米コンカーの日本法人だ。

  我々はなぜ、領収書の束から逃れられないのか。領収書は、税法上7年間の保管が義務付けられている。原則として紙による保存と決められており、企業は膨大な領収書をノートやスクラップブックに貼りつけて保管している。社員がペタペタと書類に貼りつけて提出した膨大な数の領収書は、そのまま7年間も保存されていることになる。

 実は、この領収書を電子化して保存する方法もあるにはある。それは1998年に制定された電子帳簿保存法で定められたもので、これに沿って処理を行えば領収書を電子保存できる。

厳格すぎる現行の電子帳簿保存ルール

 しかし問題は、この電子帳簿保存法で定められている厳格すぎるルールにある。主なものを挙げると、まず電子化の対象となるのは3万円未満の領収書のみ。これでは結果的に紙のままのものと、電子化されたものの2種類の領収書を保管・運用する必要が出てしまう。

 電子化するためのスキャナーにも決まりがある。持ち歩けるハンディタイプのスキャナーは使用不可で、フラッドベッド型や複合機など、なぜかガラスの原稿台が付いたスキャナーでの利用しか認められていない。たいていの人は会社でスキャニング作業をしなければならないことになる。さらに、電子化された領収書には、国税庁が定めた認証局が発行する電子証明書とタイムスタンプの付与が必須とされているため、新たなシステムの導入が必要となる。

 ここまで来ると、そう簡単に対応できるものではなく、結局ほとんどの企業が電子領収書の適用をあきらめたという。

 ところが、2015年1月14日に閣議決定した「平成27年度税制改正大綱」で、上記の問題のうち、スキャナーとタイムスタンプに関するものを除いて緩和されることになった。2015年10月1日より、領収書の金額については3万円以上のものも対象となり、電子証明書はシステムのIDとパスワードで代用が可能となった。

 これだけでもずいぶんな進歩だが、財布の中で膨れ上がる領収書の束は、会社に戻るまではなくならない。そこで、残りの2点についても規制緩和を行おうという動きが出ている。その旗振り役を務めているのが、経費管理クラウドサービスを提供する米コンカーの日本法人だ。

 米コンカーテクノロジーズ(Concur Technologies)は、国内外の出張・経費管理分野のクラウドサービス市場でシェア5割以上を占めている。SaaS(Software as a Service)ベンダーとしては、米セールスフォース・ドットコムに次ぐ2位の売上高を誇る。2014年に独SAPに買収され、同社子会社になってい る。

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