ストレージ製品の選択指標といえば、容量と価格(あるいは両者を組み合わせた容量当たり単価)、入出力性能(IOPS:I/O per second)、インタフェース、そしてディスクドライブの種類などが中心だろう。だが、Software Defined Storage(SDS)型製品の台頭とクラウド環境の広がりで、ワークロード単位、すなわち仮想マシン(VM:Virtual Machine)ごとにストレージ環境の最適化を図る動きが目立ってきた。2015年6月には、米Titriと米Nimble Storageの2社が、VM単位の性能を“見える化”する機能を相次いで強化した。両者の対応をベースに、ストレージのワークロード指向の動きを紹介する。
米Titriと米Nimble Storageは、いずれもSSD(Solid State Drive)とHDD(Hard Disk Drive)を組み合わせたハイブリッド型のストレージ製品を開発・販売する新興ベンダー。ストレージの機能や性能を基本ソフトや制御機能で実現するSoftware Defined Storage(SDS)でもある。そのうえでTitriはアプリケーション単位でのストレージ環境の最適化を、米Nimble StorageはSSDとHDDの特性を最大限に活かすためのデータマネジメントを、それぞれの差異化点に挙げる。
まず、両者のVM(Virtual Machine:仮想マシン)に関連する新機能を概観する。Titriが6月4日に発表したのは、最新の独自OSである「 Tintri OS 3.2 」。VM単位でのストレージ性能を可視化するとともに、性能の上限値や下限値を設定することで、特定のVMへの性能を優先したり、逆に全体性能に影響を与えているVMに提供する性能を制限したりを自動で変更する(図1)。
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すなわち、ストレージのQoS(Quality of Service:サービス品質)をVM(=そこで動作するアプリケーション)単位に設定し、それを守る形でストレージ性能を割り当てる。この仕組みをTintriは、「VM パフォーマンス保証」と呼んでいる。従来バージョンでは、ストレージ装置全体を最適に保てるように性能を自動的に割り振っていた。これを新版では優先したいVMを利用者が指定できることになる。
一方、Nimbleが6月19日に発表したのは、同社が利用企業に無料提供する製品モニタリングのクラウドサービス「Nimble Storage InfoSight」の最新版。ストレージ製品の稼働状況の監視に、VM単位でのストレージ性能を可視化する機能「InfoSight VMSight」を追加した(図2)。
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