IoT(Internet of Things:モノのインターネット)の業務への応用について考えるなかで前回、ネットワークのエッジでデータを処理する必要性が生じ、それに応えようと「フォグコンピューティング」と呼ばれるコンピューティングパラダイムが生まれたことを述べた。今回は、これを強く推進する米Cisco Systemsの発表内容などを基に、ネットワークの進化やフォグコンピューティングの可能性について考えてみたい。
「フォグ(霧)コンピューティング」を強く推進しているのが米Cisco Systemsである。同社の予測では、2018年までにIoT(Internet of Things:モノのインターネット)によって生成されるデータの40%がフォグコンピューティングによって処理されるという。
ビジョンに続き実現に向けた製品/技術を着々と投入
Ciscoは、フォグコンピューティングに関するビジョンだけでなく、2014年2月にプラットフォームとしての「Cisco IOx」を、2015年6月にはフォグコンピューティングを応用した新セキュリティ戦略「Security Everywhere」を、さらに同年6月29日には「Cisco IoT システム」を、それぞれ発表している。
Cisco IOxは、ネットワーク機器をフォグコンピューティングのプラットフォームとしての展開するための基盤ソフトウェアである。ルーターやスイッチなどのネットワーク機器に搭載しているネットワークOS「Cisco IOS(Internet Operating System)」と、Linux OSを統合することで、ネットワーク機器本来の機能に加えて、処理ノードとしての機能を加える。
ルーターは元々、サーバーが持っていたルーティング機能を専用機器として独立させたもの。しかし、IoTにおける処理の最適化や処理品質の要求から、ネットワーク機器側にサーバーのデータ処理機能をも持たせることで、フォグとクラウド間での処理の最適化を目指す。
会員登録(無料)が必要です
本連載から、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)関連の回だけを選りすぐりった電子書籍『IoTによってビジネスを変える(CIO のための「IT 未来予測」Vol.2)』を発行しました。IoTの全容をお手元でじっくりとお読みいただけます。こちらから、どうぞ、お買い求めください。
- 1
- 2
- 3
- 次へ >
- 広がるAIの応用分野と、それが示す現時点での限界(2017/04/17)
- 米GEのIndustrial Internetの成果と進化(2017/03/20)
- IoTとAIが変えるUI(ユーザーインタフェース)(2017/02/20)
- IoTの実現に向け広がるフォグコンピューティングの価値(2017/01/16)
- デジタルトランスフォーメーション(DX)の重要テクノロジーとしてのIoT(2016/12/19)