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[調査・レポート]

10年以上増加を続けた国内データセンター施設が2014年から減少へ─ミック経済研調査

2015年8月18日(火)クラウド&データセンター完全ガイド編集部

ミック経済研究所は2015年8月17日、日本国内のデータセンターファシリティ(施設)およびサービスの市場動向を調査し、その結果の概要を発表した。それによると、2013年度までの10数年間、国内のデータセンターは施設数、延床面積、ラック数のいずれも増加を続けてきたが、2014年からは減少に転じているという。

 ミック経済研究所が今回実施した調査では、国内の主要データセンター事業者へのアンケート調査結果をベースに、データセンター施設およびデータセンターサービスの事業化比率と売上動向を、2013年版の調査結果と比較しながら分析している。

 ちなみに、この種の調査で難しいのが「何をもってデータセンター施設/事業者とするか」の判定である。ミック経済研は、同社のデータベースなどを基に国内データセンター事業者を1000社選定し、未確認のデータセンターについてはサービス事業化の有無を電話やWebサイトで確認している。

 その結果、建物の所有は問わないがファシリティについては自社で用意している「自社データセンター事業者」を249社、「データセンター間借り専業者」を138社、合わせて387社を国内データセンター事業者として認定。この387社に対してファシリティとデータセンターサービス事業売上についてのアンケート調査を実施している。そのうち、141社から有効回答を得たという。

 冒頭で触れたように、ミック経済研の調査によると国内のデータセンター施設は2013年度までの10数年間、リーマンショックの影響を受けた2008年と2009年を除いて増加を続けてきた。年間平均の増加ペースは、施設数で30数カ所、延床面積で10万㎡以上、ラック数で1万数千基だという(図1)。

図1:国内データセンター施設数/延床面積/ラック数の伸び率推移(出典:ミック経済研究所)

 同社は、2011年3月の東日本大震災以降から局面が変わって、いくつかの要因が加わりデータセンターがクローズアップされてきたことを指摘する。その要因とは、(1)ユーザーのDR(ディザスタリカバリ:災害復旧)/BCP(事業継続計画)への意識が格段にアップしバックアップ用途のデータセンターニーズが高まったこと、(2)耐震性、セキュリティの強化、省エネ対応、電力使用の高効率性への要請が強まったこと。(3)SaaS/PaaS/IaaSなどの各レイヤでユーザーにクラウドファーストの意向が強くなりデータセンター利用が中堅・中小企業まで拡大したこと、(4)地方においてSaaSやレンタルサーバー、VPS(Virtual Private Server:仮想専用サーバー)のハウジング先としてデータセンターを間借りする事業者が増加したことの4つだ。

 図2は、同社が行った国内データセンターサービス市場の中期予測をグラフにしたものだ(グループ間取引とデータセンタ間借りの重複分の合計約9%程度を除く実質市場規模)。2014年度は1兆5366億円から、2015年度は1兆6118億円の4.9%増となっている。

図2:データセンターサービス市場の中期予測(出典:ミック経済研究所)

 調査結果を踏まえ、ミック経済研は、2014年をデータセンター施設のターニングポイントの年だとしている。同社は、東日本大震災以降、データセンターの建設地はバックアップ向けDCなど地方への流れがあったが、再び消費地に近い首都圏に回帰していることと、調査では施設数、延床面積、ラック数のいずれも2013年度以前と比べて減っており、2015年度はその傾向が顕著で従来の半分になる見通しであることを指摘する。

 減少の要因として同社は、大震災以降の、将来のサーバールーム増設を確保した大規模データセンターの増加(によるサーバー/ラック集約の加速)と、2020年度に開催決定した東京オリンピック/パラリンピックによる建設コストの上昇を挙げている。

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10年以上増加を続けた国内データセンター施設が2014年から減少へ─ミック経済研調査ミック経済研究所は2015年8月17日、日本国内のデータセンターファシリティ(施設)およびサービスの市場動向を調査し、その結果の概要を発表した。それによると、2013年度までの10数年間、国内のデータセンターは施設数、延床面積、ラック数のいずれも増加を続けてきたが、2014年からは減少に転じているという。

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