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専用端末、ようやくシンクライアント化へ~金融向けATMを日本NCRが発表

2015年9月14日(月)田口 潤(IT Leaders編集部)

Windows10が登場した今となっても、Windows XPやそれ以前のOSを搭載した端末は少なくない。特にインターネットに直接接続されない専用端末──小売店のPOS端末や金融のATM端末──は、古いOSのままの傾向が強いようだ。こんな状況の中で、日本NCRがシンクライアント型のATM端末を発表した。

 リッチクライアントからシンクライアントへ──。セキュリティ対策や運用・保守の容易さを考えると、後者に分があることは自明だろう。にもかかわらず、今なおシンクライアントが広く普及しているわけではない。セキュリティが重視されるモバイルPCでは、ネットワークへの常時接続環境の不十分さが普及を阻害する。オフィスや事業所内ならその問題はないが、導入費用の面でリッチクライアントが常に割安なのが実情だ。

 では専用端末、例えば銀行やコンビニに設置されているCD(現金自動支払い機)やATM(現金自動預け払い機)、小売店のPOS(販売時点情報管理)端末、駅や空港の発券端末などはどうか? 大半が特定の場所に据え置き設置されるのでネットワーク接続の問題はないし、専用端末だけにリッチクライアントが割安ということもなさそうに思える。しかし現実には大半がリッチクライアントだという。

 そんな中、日本NCRがシンクライアント化したATM「NCR CX110」を発表した(写真)。端末側はAndroidベースで、Windows Server上で稼働する「Kalpana」と呼ぶATM用のWebソフトウェアにアクセスする構成だ。「シンクライアントのATMは世界初。金融機関はメンテナンスが簡単になり、コストも下げられる」(内藤眞 同社社長)という。欧米など海外では2015年4月に発売済みで、日本ではNTTデータをパートナーとして販売する。

写真 NCR CX110の概観

 米NCRの資料によると、世界中のATM端末の75%程度はWindows XPかそれ以前のOSを搭載しており、インターネットに直結していないとはいえ、セキュリティ面の脆弱さは否定できない。それをNCR CX110では解消すると同時に、「シンクライアント化することでTCO(システムの総保有コスト)を40%削減できる。設置する地域の特性や顧客に合わせたUIを実装することも可能だ」(ジョアオ・ペレス 米NCR上級副社長)という。

 ちなみにATMの国別設置台数は多い順に中国60万台、北米44万台、日本22万台で日本は3位(同社による)。中国や北米でのシェアは同社がトップだが、日本は国産勢が強い。そこでセキュリティやTCOなどの優位性を訴求して、日本でのシェア拡大を図る考えだ。「NCR CX110はPCI PTS4やEMVという国際的なセキュリティ基準に適合する。2020年の東京オリンピックに向けて拡大するインバウンド需要にも対応できる」(同)。

 それにしても、なぜこれまでATMのシンクライアント機がなかったのか? 同氏によれば、1990年代に専用端末がWindowsベースになって以降、関連ソフトウェアやディスプレイ、入力機器、金銭のドロワーなどの周辺機器もWindowsがベースになった。「基本構成をシンクライアントにするには、ソフトウェアとハードウェア双方への投資が必要。軽々には手掛けられない。そのため一般のPCよりも20年近く後れをとってしまった」(同)。

 なお日本NCRは同日、GMSなど小売業向けのPOS端末「NCRセルフレジ スリム」も発表している。こちらは名前の通り、日本ではまだ少ないセルフレジ型の機種。今回発表の製品はWindowsベースのリッチクライアントである。だが、米大手GMS、TARGETで2013年末に発生した7000万件もの個人情報漏洩事件(http://it.impressbm.co.jp/articles/-/11538)を考えると、企業ネットワーク経由でマルウェアに感染する可能性は否定できない。そのため「時期は言えないが、こちらもシンクライアント化を検討している」(同社)。

 

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