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知っておくべき人材マネジメントSaaS「Workday」の実像〜テクノロジー編〜

2015年10月15日(木)田口 潤(IT Leaders編集部)

グローバル企業において、人材管理は事業遂行に欠かせない手段に位置づけられている。それゆえ、事業部門トップや現場マネジャーが責任と権限を持っている。。そこに焦点を合わせた機能を提供するSaaS(Software as a Service)が「Workday」である。以下では、Workdayのサービスを実現しているテクノロジーについて見てみる。

 別稿にて、「Workday」のサービスの特徴を、同社が2015年9月末に米ラスベガスで開催した年次ユーザーカンファレンス「Workday Rising2015」での発表内容を踏まえて紹介した。以下では、それらサービスを実現するためにWorkdayが採用しているテクノロジーについて紹介する。

拡張性・柔軟性を担保する
クラウドネイティブとオブジェクトモデル

 Workdayの共同創業者兼会長であるDave Duffield氏は、2005年に米Oracleに買収された人事管理システムの大手、米PeopleSoftの創業者であり、CEOも務めた。従ってWorkdayは、PeopleSoftのいい点を引き継ぎ、問題点を解消し、さらに2000年代半ば以降の技術、すなわちクラウドやWebサービスを前提に開発されている。ゼロからの新規開発であるため、機能拡張を前提にしたアプリケーションでもある(図1)。

図1:イノベーションの歴史図1:イノベーションの歴史
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 そのためWorkdayには、技術面でも見るべき点がある。第1は「稼働しているコードが1種類しかない」(共同創業者兼CEOのAneel Bhusri氏)こと。すなわち1つのバージョンをすべてのユーザー企業が共用するということだ。

図2:Workdayが強調する「The Power of ONE」図2:Workdayが強調する「The Power of ONE」
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 ソースコードの修正を伴うカスタマイズやモディフィケーション、機能追加のアドオンは不可能。できるのは設定によるコンフィギュレーションとAPI(Application Programming Interface)を介した外部サービス連携だけである。同社はそれを「The Power of ONE」と称している(図2)。セキュリティもプラットフォームも、そして体験(Experience)も1つだけというわけだ。

 先輩格に当たる米Salesforce.comと同じだし、SaaS(Software as a Service)なので当然でもある。しかしWorkdayはCRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)ではなく、グローバル対応の人事/財務ソリューションだ。業種も規模も国籍も異なる企業が、人事や財務といった企業風土や各国の制度の違いがある中で、なぜ同じソリューションを使えるのか?同社によれば、設定の自由度が大きいことがあるようだが、「人事や財務で差別化する必要はない」といった、ある種の割り切りや考え方も影響しているようである。

 というのも他社と共通のWorkdayを使っている企業なら、他社から移ってきたビジネスパーソンを教育したり慣熟のための期間を設けたりする必要がない。機能は同じでも使いこなしで社風や差異化ができるといったものだ。サービスを提供するWorkdayにとっては、旧バージョンや派生バージョンがないため、バグフィックスやセキュリティパッチをあてやすいという利点がある。

 もう1つ、ユーザー要件を取り込む努力もしている。別稿で述べたように、Workdayは年2回以上のペースでバージョンアップする。最新バージョンは25という数字である。これは、日本のERP(Enterprise Resource Planning)製品ベンダーであるワークスアプリケーションズ(AP)がユーザー独自要件を標準機能として取り込む方針を採るのと似ている。

 ただしワークスAPと違って、年2回のアップデートを強制されるのも事実だ。要する停止時間は5年前の23時間から現在の3.9時間へと短縮したというが、ユーザーがベンダーの都合に付き合わなければならないことに変わりはない。

図3:Workdayのサービス指向アーキテクチャー図3:Workdayのサービス指向アーキテクチャー
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 それはさておき、この拡張性や設定の自由度を支えるのがWorkdayのアーキテクチャーである。当初、Workdayの内部構造は、データ管理、セキュリティ管理など共通機能を提供するシステムコアと、業務機能モジュールをサービスバスで連携させる疎結合のサービス指向アーキテクチャーだった(図3)。

 同アーキテクチャーでは、個々のサービスはオブジェクト指向に則って記述されている。Workday Rising2015では、それを「マイクロサービスアーキテクチャー」に移行中であることを明らかにした(関連記事)。

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