[インタビュー]

「クラウドの卸売りは半年で120社を獲得」─米Egenera CEO ピート・マンカ氏

2015年12月16日(水)田口 潤(IT Leaders編集部)

クラウドサービスやITインフラの管理ツールを提供する米イージェネラ(Egenera)は、「クラウドの卸売りサービス「Xterity Cloud Services」を展開している。2015年5月に米Equinixのデータセンターを利用して開始し、日本でも2015年10月から提供している。ありそうでなかった同サービスは、果たして顧客を獲得できているのか? 来日した同社CEOのピート・マンカ(Pete Manca)氏に聞いた。(聞き手は田口潤=IT Leaders編集部)

米Egenera、CEOのPete Manca(ピート・マンカ)氏米Egenera、CEOのPete Manca(ピート・マンカ)氏

 準大手以下のシステムインテグレーターやIT運用サービス事業者、そして大手企業の情報システム子会社にとって、クラウドコンピューティングは悩ましい存在だ。AWS(Amazon Web Services)やMicrosoft Azureといったパブリッククラウドは、ITインフラにまつわる様々な面倒事を委ねられる一方で、自社からは見えない、管理不能な要素が発生するからだ。

 例えば、何らかの障害が発生してもできることが限られ、結果として顧客との関係が弱くなってしまう恐れがある。情報セキュリティや機密保護の観点からは、パブリッククラウドに全面依存するのは難しいという面もある。

 自社でプライベートクラウドを構築できれば、これらは解消できる。しかし実現のハードルは低いとは言えない。初期投資と、大手に互して強化し続けるための投資に加えて、技術面や運用管理の面でも難題は少なくない。

 こうした問題を解消するサービスとして、米Egeneraが“クラウドサービスの卸売り”をうたう「Xterity Cloud Services」を2015年4月に発表したことは、本誌で報告した(関連記事)。簡単に復習すると、Xterityは世界各国でデータセンター(DC)事業を展開する米Equinixの物理ITリソースと、Egeneraのクラウド管理ソフトウェア群「Egenera Cloud Suite」を使ったクラウドサービス。Egeneraは卸売りに徹し、IT事業者や情シス子会社などが自社のサービス名を冠してユーザー企業に提供する。

 Egeneraの日本法人はXterityについて「可用性は99.99%と一般のパブリッククラウドより高く、価格競争力もある。単純に安さが必要な場合はAWSなどにも接続できる。IT事業者や情シス子会社、ユーザー企業、そしてEgeneraとEquinixの3者それぞれにメリットがある仕組みだ」と話す。

 確かに仕組みはユニークだが、価格競争力などには疑問もある。実際のところはどうなのか、日本に先行してサービスを開始した欧米の利用は増えているのか。来日したEgeneraのCEOであるピート・マンカ(Pete Manca)氏に聞いた。

 IT市場は今、ハードウェアやソフトウェアの販売から、クラウドに集中する時代に移りつつあります。特に先進国ではその傾向が顕著で、クラウドが急成長しつつあるのです(図1)。その中でITサービス企業やマネージドサービス企業、ソフトウェア会社はクラウドに対応する必要があります。

図1:先進国におけるクラウド化が顕著図1:先進国におけるクラウド化が顕著
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 この時、ITサービス事業者には2つの選択があります。AWS(Amazon Web Service)やGoogle、Microsoft Azureなどのクラウドを扱って低マージンで我慢するか、クラウドインフラを自前で用意してマージン確保の自由度を高めるかです。そこでXterityを提供することにしました。Xterityはホワイトラベル(無印)なので、事業者が自分のブランドやサービスとして提供できます。

 料金を自由に設定できるのもメリットです。初期投資は不要だし、運用負担もオフロードできます。当然、システム構成も必要に応じてカスタマイズできるので、事業者は付加価値を付けられます。AWSなどでは決まったメニューを使うしかありません。

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