[新製品・サービス]

Uber対策―東京のタクシー業界団体が投じた新サービス

2016年3月22日(火)杉田 悟(IT Leaders編集部)

 デジタル・ビジネスの旗手である米Uber Technologiesが、世界を席巻している。日本のタクシー業界もUberの配車ビジネスには早くから警戒感を抱いており、複数の配車サービスが早々に登場してきた。その中のひとつ東京ハイヤー・タクシー協会は2016年3月15日、同協会が運営するタクシー共通配車アプリ「スマホdeタッくん」の対応地域拡大とアプリの新機能を発表した。「外敵」を迎え撃つ「本命」となりえるのか。

 米サンフランシスコのタクシー会社が倒産に追い込まれると報道されるなど、世界のタクシー業界を「破壊」し続けているのがUberやLyftといった配車サービスだ。業界トップのUberは、2013年に日本にも上陸している。ライドシェアサービス「みんなのUber」が国土交通省から行政指導を受け本格サービスには至らなかったものの、まずはハイヤーの、2014年からはタクシーの配車サービスを開始している。

 そこで、東京都内のタクシー会社、ハイヤー会社で構成される業界団体である東京ハイヤー・タクシー協会が日本マイクロソフトの協力で開発したのが、共通配車サービスのスマホアプリ「スマホdeタッくん」だ。サービスは2014年1月に開始している。

 スタート時には6つのタクシーグループが参加して、配車台数は約6500台だった。1年後の2015年1月には、さらに2グループが合流、配車台数を約1万1000台に拡大している。そして今回の発表で参加グループ数は合計20となり、地域も、これまでの東京23区、武蔵野市、三鷹市(東京23区武三エリア)に加え多摩地区にも対応した。これで配車台数は1万2412台まで増加した。参加率は23区武三エリアで約55%、多摩エリアで約31%となっている。

 配車アプリは、選択機能の強化を行っている。車両の色、エコカーかどうかに加え、タクシーグループの指定も行えるようになった。また、住宅向けインターホンシステムを手掛けるアイホンの協力で、住宅のインターホンからタクシーを呼べるサービスも開始している。また、電波発信端末の「Beacon」を活用したポイントサービスも開始した。

 H2Hというベンチャー企業が展開する、時間が単位の共通ポイントサービス「Time Wallet」と連携したもので、乗車時間を計測してポイントに割り振るというサービスとなっている。Beaconをタクシーに搭載、スマートフォンアプリのTime Walletがこれと連動して乗車時間を測定し、ポイント化する。集めたポイント「min」は、他の提携サービスでも利用することができる。

 都内における配車台数の占有率の高さと、このような付加サービスでUberに対抗しようというのが東京ハイヤー・タクシー協会の目論見だが、ライバルはUberだけではない。むしろUber以上に脅威となる可能性を秘めているのが、スマートフォンアプリを展開するLINEのタクシー配車サービス「LINE TAXI」だ。

 Uberは、あらかじめ登録したクレジットカードで一切の支払いを行う「キャッシュレス」が特徴だが、LINE TAXIもLINEの決済・送金サービス「LINE Pay」で支払う仕組みを採用している。完全にUberを意識したサービスモデルといえるが、なんといってもLINEの強みは、すでに多くのスマートフォンユーザーを抱え込んでいることだ。その数は5千万人以上で、日本の人口の半分近くの人に容易にリーチできる強みがある。

表:主な配車サービス一覧
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 そのほか、Japan Taxi(旧 日交データサービス)という日本交通系のサービス会社が提供する「全国タクシー配車」というサービスもある。こちらの支払いは、スマホdeタッくんと同様、支払い時に現金かクレジットカードかを選択できる旧来のタクシーと同じ方式で、これを「柔軟」と見ることもできる。スマホdeタッくん以外のサービスはいずれも対象エリアを拡大し、全国展開を行っている。

東京ハイヤー・タクシー協会の川鍋一朗会長

  東京ハイヤー・タクシー協会の川鍋一朗会長は「スマホdeタッくんは、配車アプリの普及を目的に投入されたものであり、その目的にかなうのであれば、他のサービスとも連携していきたい」と、競合よりも協調のスタンスを取ることを示している。本心はともかく、多くのタクシーグループが複数の配車サービスに参加するという状況にあるのは事実だ。各配車サービスには、それぞれ特徴があり、利用者が自分の利用スタイルに合った配車サービスを選択できる環境が整ってきたことを喜ぶべきか。

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