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「SoEのアプリケーションは、こう企画・開発する」従来型SIとは一線を画す富士通の「共創サービス」とは

2016年5月16日(月)田口 潤(IT Leaders編集部)

富士通が、事業に直結した「SoE(Systems of Engagement)」と呼ばれるタイプのシステムを企画・開発するための「共創サービス体系」を5月中旬に発表し、本格展開を図る。システムの構想から企画・開発までを顧客と共同で取り組むのがポイントであり、「SoR(Systems of Record)」のシステムを対象にした受託開発とは一線を画している。煮詰め不足に思えるところもあるが、従来は存在しなかったサービスや、SoEを実現するシステムを開発するために必要なことを網羅した体系になっている。

 ビッグデータやモバイル、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)、AI(Artificial Intelligence:人工知能)といった最新のデジタル技術を生かし、ビジネスや事業に直接貢献するシステムやアプリケーションを創り出す−−。デジタルビジネス時代といわれる中、これは「言うは易しく行うは難し」の典型だろう。SoR(Systems of Record)、SoE(Systems of Engagement)の分類で言えば、SoEに属するアプリケーション群の話だ。

 というのもSoEの場合、(1)確実に投資対効果が見込めるとは限らないので着手のきっかけがつかめない、(2)ニーズが顕在化しているケースはほとんどなく、どんなシステムを作ればいいのか判然としない、(3)デジタル技術といっても多種多様で最先端技術ほど何がどこまでできるのかを見極めにくい、など様々な“壁”があるからである。

 こうした壁を乗り越えようと富士通が5月中旬に発表したのが「共創サービス体系」だ。名前の通り、顧客と富士通が協同してアイデアを生み出したり、アプリケーションを試作したりする手法を集大成し、体系的に整理した。特に、様々な情報やナレッジを集めて整理・分析したり、協同でサービスやアプリケーションのアイデアを生み出したりする上流工程に重心を置く(図1)。この点で“御用聞き”とも揶揄される、SoRを対象にした従来型のシステムインテグレーションとは一線を画したものになっている。

図1:SoE(Systems of Engagement)ではアジャイル型で試行錯誤を繰り返す図1:SoE(Systems of Engagement)ではアジャイル型で試行錯誤を繰り返す
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 ただし、ベースは富士通が独自に編み出したものではなく、ある考え方を参考にしたという。「SoEのアプリケーションを企画・開発するには、顧客の事業部門やIT部門と我々が一緒になって、今後どんなことが、どう起こるのかを考え、アイデアを企画し、迅速にシステムを構築・改良する“OODAループ”が大事。共創サービスにはこれを取り入れた」(同社の谷口典彦 執行役員専務)。OODAループとは、Observe(監視・観察)、Orient(状況判断)、Decision(意思決定)、Act(実行)の4ステップを繰り返す考え方。計画が先行するPDCA(Plan、Do、Check、Action)に比べ先行きが不透明で変化が激しいい状況下で役立つとされる。

 では実際には、どんな内容なのか。共創サービス体系は、情報収集・問題の発見、アイデアの創出、PoC(概念実証)/PoB(ビジネス実証)という3ステップからなっている(図2)。

図2:共創サービス体系の3つのステップ図2:共創サービス体系の3つのステップ
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 情報収集・問題の発見では、情報を集め詳細を予測する「未来洞察プログラム」がある。富士通グループの研究機関、例えば富士通総研や米国富士通研究所などによる業界動向やITの技術動向のリサーチ活動、海外の研究機関や先進企業の視察、有識者インタビューなどを行う。「アイデアを創出するためにも、このステップは重要」(同社の中村記章グローバルSI技術本部長)とする。OODAループに当てはめればObserve(監視・観察)になる。

 次のアイデア創出は、Orient(状況判断)とDecision(意思決定)を合わせたものに相当する。ここでは「ハッカソンチャレンジプログラム」「デザイン思考プログラム」を用意する。前者はチャレンジプログラムという言葉が付いているがハッカソンそのもの。ユーザー企業の事業部門やIT部門の人員、富士通のエンジニアなどがチームを組んでビジネスやサービスのアイデアを出し合い、コンテスト形式で優劣を競う。「富士通は過去多くのハッカソンを実施しており、実績では国内有数だと自負している。それだけノウハウもある」(中村本部長)とする。

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