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[ベテランCIOが語る「私がやってきたこと、そこから学んだこと」]

人工知能ビジネスを目指したIT子会社、そこで住宅事業の難題に挑戦

【第3回】

2016年6月6日(月)寺嶋 一郎(TERRANET代表/IIBA日本支部代表理事)

2016年の今、世はまさに第3次AI(人工知能)ブーム。筆者は1990年前後の第2次AIブームの頃、MIT(マサチューセッツ工科大学)で学んだことを活用し、積水化学の住宅事業における難問──住宅の部品展開問題──にAIを武器に挑戦した。IT子会社に在席しながらである。ここから何かを読み取って頂ければ幸いである。

 前回述べたMITの留学から帰国するとすぐに、筆者は積水化学が出資し、IT子会社となったアイザックという会社に参画し、約13年間仕事をした。その間、ITの仕事はもとより組織整備や人事等各種制度の構築など経営に携わった。小さいとはいえ、アイザックは独立した企業なので組織マネジメントに関して非常に勉強になった。

 例えば会社の生産性は、社員のやる気にかかっている。当時のアイザックには腕に覚えのあるUNIXのプログラマーが集まっており、やる気を高めるべく懇親会でコミュニケーションをとろうとした。しかし仕事と関係ないので参加を断る人が多く、集まってもコミュニケーションをとろうとはしなかった。

 結局、少々わがままなプログラマーを束ねるためには、権力などは通用しない。これは面白いと思えるビジョンを掲げ、ついて行きたいと思える技術的、人間的な魅力を持つこと、それがリーダシップのあり方だと学んだ。筆者の場合、MITで学んだことが大いに役立った。

 そんなアイザックにおいて、積水化学の業務にどうAIを応用できるのか、いろいろな試行を行った。一例が住む人の好みや敷地の形にマッチした間取りを作成する仕組みに挑戦したこと。当時、AI言語として脚光を浴びていた論理型プログラム言語「Prolog」の探索手法を活用したものだったが、営業員からは良い評価を得られなかった。

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