[木内里美の是正勧告]

情報サービス業の「多重階層構造」、それが問題の本質ではない

2016年6月15日(水)木内 里美(オラン 代表取締役社長)

筆者の目線は常にユーザー側である。システムを開発する目的や意図は使う側にあるから、ユーザー側から見た“摩訶不思議”なことを書いている。しかし、時には目線を変えてベンダー側からシステム開発を見てみるのもいいのではないか──。そんな気になったのは最近、情報サービス会社から相談を受けることが増えているからだ。

 情報サービス業は多重階層(下請け)構造だと言われる。それが問題であり、何とかしたいという趣旨の相談なのだが、しかし多重階層構造は情報サービス業に限った話ではない。製造業では完成品メーカーを頂点に1次、2次と下請企業が連なるのが普通だし、流通小売業でも似たような構造でビジネスが動いている。日本の総企業数の99.7%を占める中小企業は、多重階層構造によって成り立っているのだ。

 それにもかかわらず、ことさら情報サービス業における多重階層構造の問題が強調されるのは、それが不条理な取引関係や過重な労働を生んでいるからだろう。情報サービス業が3Kだ5Kだ7Kだと言われてきた所以は、労働集約の面から指摘されることが多い。

同じ多重階層構造でも建設業は中身が異なる

 情報サービス業には、ユーザー企業からプライムで受注する会社(元請会社)と、その会社から受託して開発を行う会社(下請会社)がある。一般にプライムはハイリスク・ハイリターン、受託はローリスク・ローリターンだ。だからリスクを考えて受託に徹する会社も少なくない。

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