[調査・レポート]

3割の企業がデジタルビジネスに取り組んでいる―「情報サービス産業白書2016」より

2016年6月29日(水)杉田 悟(IT Leaders編集部)

デジタルビジネスに取り組んだ実績のあるユーザー企業は3割―情報サービス産業協会(JISA)の「情報サービス産業白書2016」によると、デジタルビジネスに関する案件やパイロット案件を経験したユーザー企業は、合わせて3割に達しているという。

 情報通信技術(ICT)と企業経営の関係はより緊密さを増している。単に既存のビジネスを効率化するにとどまらず、ICTがあってこそ初めて可能になる新たな事業モデルを創り出す動きが世界各地で巻き起こっている。いわゆる「デジタルビジネス」と呼ばれるものだ。

 では、デジタルビジネスに対する国内企業の取り組み実態とはいかなるものか。ここで注目したいのが、主にSIを生業とする情報サービス企業の業界団体である情報サービス産業協会(JISA)が実施した調査の結果だ(従業員50名以上の企業の情報システム担当者を対象にしたもので、有効回答数は485)。

 デジタルビジネスの案件実績があるかを聞いたところ、「実績あり」と答えた企業は29.3%だった(図1)。その内訳は、収益を期待できる、つまりビジネスとして成り立っている案件が16.5%で、パイロット案件が12.8%である。

 調査対象が情報システム担当者ということもあり、比較的「ITに対する意識の高い企業の中で」という条件はつくものの、それにしても3割は十分高い数字といえる。また、準備中の企業も30.1%あり、合わせて約6割の企業がすでに、デジタルビジネスに対して前向きに取り組んでいることになる。

(図1)ユーザー企業のデジタルビジネスに関する案件実績(出展:情報サービス産業協会「情報サービス産業白書2016」)
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 デジタルビジネスについては、これまでとは異なるベクトルでITが活用されるシーンが多いことから、従来通り情報システム部門がイニシアティブを取るべきか、あるいは直接ビジネスに係わる部門など、情報システム部以外が取るべきかで議論されることが多い

 そこで、すでにデジタルビジネスに取組んでいる企業に、実際にどの部門がデジタルビジネスを手掛けたのか聞いたところ、情報システム部門が34.2%だったのに対し情報システム部門以外が41.2%で上回った。情報システム部門以外の内訳は、既存の組織では、各部署の自発的な取り組みが14.2%、経営企画や社長室など普段から新規事業開発を担当している部署が11.1%、広報・マーケティング部門が1.2%だった。新たな組織としては、各部署の代表者で形成するタスクフォースなどのバーチャル組織を作った企業が10.7%、専任の部署を設立した企業も3.9%あった(図2)。

(図2)デジタルビジネスの主導部署(出展:情報サービス産業協会「情報サービス産業白書2016」)
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ユーザーとベンダーの動向を明らかにする白書

 JISAは、一連の調査の結果を取りまとめた「情報サービス産業白書2016」を2016年5月21日に発行した。テーマであるデジタルビジネスの動向を文章と豊富な図表でまとめたもので、上に取り上げた調査結果のほか、例えば、デジタルビジネスに積極的なユーザー企業は具体的にどのような取り組みを行っているのか、情報サービス企業に期待すること、あるいは情報サービス企業側の取り組み状況など、ユーザー企業、JISA会員である情報サービス会社双方に行ったアンケート結果から、デジタルビジネスにアクションを起こす日本企業の実態を明らかにしている。

 IT Leadersが編集に携わった「デジタルビジネスのトレンド」も掲載されているので、併せて読んでいただきたい。

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