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[ベテランCIOが語る「私がやってきたこと、そこから学んだこと」]

オープン化による基幹システム刷新の経緯と成果

【第8回】

2016年9月12日(月)寺嶋 一郎(元・積水化学工業情報システム部長)

前回は、グループインフラの整備や「見える化」を主体としたセキュリティ対策の推進やその効果をお伝えした。今回は、積水化学の汎用機上の基幹システムをオープン化した経緯とその成果をお話したい。レガシーからの脱却は難題だったが、やって良かったと思う。何かを読み取っていただければ幸いである。

 2000年に本社の情報システム部長に就任して以降、何をすべきかを考えた。その一つはインターネット技術の活用であり、前々回にお伝えした全社の情報共有基盤Smileの推進につながった。もう一つはERPの導入である。

ERPのコンセプトに魅せられて

 当時、大手商社や製薬などの製造業が相次いでERPを導入し、脚光を浴びていた。ERPは、バラバラに構築、導入されてきた会計や生産管理、販売管理、人事といったシステムを統合し、企業のアクティビティを連携させデータを一元化する。それによって経営資源である「ヒト・モノ・カネ」を統合的に管理し、経営の効率化を図る──そんなコンセプトの経営情報システムである。

 ERP登場時のベンダーの謳い文句は二つ。一つは、データを元に経営の意思決定ができるということ、もう一つは「ベストプラクティス」という、グローバルで一番良いとされる業務プロセスをそのまま導入することで業務改革ができるというものだ。その後、理由は分からないが、会計システムを中心に生産管理や販売管理、人事システムなどを組み合わせる、パッケージソフトウェアも、ERPと呼ぶようになった。

 こうなると話は違うように思うが、そもそものERPのコンセプトである「ヒト・モノ・カネ」という情報を軸に企業活動の「見える化」を図る考え方は、素晴らしい。というのも、概して日本では複数の業務システムを跨がる“エンタープライズデータ”を、きちんと整備していない企業が多い。システムから欲しい数値をすぐに取り出せないのだ。

 しかし日本では社長や事業部長を取り巻くスタッフは優秀である。彼ら彼女らが複数の業務システムからデータを取り出し、美しく整った資料を手作りする。これが経営判断のベースになるので、経営者はシステムからすぐにデータがとれるかどうかに関心を持たなかった。あるいは、そういうものだと思っていた。

 欧米はそうでないという。優秀で信頼できるスタッフを抱えていないのか、あるいは手作りの時間を待てないのかはともかく、CEOなど経営陣が自らの経営判断のベースとなるKPIを算出するシステムの開発をIT部門に命じ、それが生成するデータを見ながら経営を行うと聞く。日本企業の弱みを突いたわけでもないのだろうが、データを元にした経営の意思決定という謳い文句に皆飛びついたのではなかろうか。

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