[市場動向]

IoTで製品志向からサービス志向へ、”デジタルツイン”と”サービタイゼーション”を目指せ(前編)

2016年11月8日(火)田口 潤(IT Leaders編集部)

IoTと基幹システム、あるいは業務遂行をサポートするシステムを連携させることで、ビジネスの多くを可視化・自動化する。同時に製品中心(Product Centric)からサービス中心(Service Centric)の事業モデルに軸足を移す−−。製造業やB2Bのサービス業に強みを持つスウェーデンのERPベンダー、IFSが開催した「IFS World Conference2016」の内容を要約するとこうなる。先行きが見通せない今日において、「デジタルツイン」と「サービタイゼーション(サービス化)」が鍵になるという認識だ。

 スウェーデンのIFSは知名度こそ決して高いとはいえないものの、常に一歩先を提示する有力ERPベンダーの1社である。広範な機能群を、IFS ApplicationsというERPとその周辺モジュールとして提供している。会計やHR(人的資源管理)はもちろん、製品データ管理やプラントデータ管理などの設計・開発、プロジェクト計画や外注管理などプロジェクト管理、原価管理や制約型スケジューリングなど生産管理、需要予測や在庫管理などサプライチェーン管理、さらにセールス&サービスやメンテナンス業務もカバーする。

図1:米ガートナーの『Magic Quadrant for Single-Instance ERP for Product-Centric Midmarket Companies』でIFSはリーダーポジションに位置する図1:米ガートナーの『Magic Quadrant for Single-Instance ERP for Product-Centric Midmarket Companies』でIFSはリーダーポジションに位置する
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 米ガートナーの『Magic Quadrant for Single-Instance ERP for Product-Centric Midmarket Companies』において、独SAPのSAP Business All-in-Oneと並んでリーダーポジションにランクされているのも特筆すべきことだろう(図1)。

 “Midmarket”といっても中堅企業だけが対象ではない。ユーザー企業には本拠地であるスウェーデンの自動車メーカー、Volvoや軍事関連企業のSAAB、米国のGE Aviation(GEのエンジン部門)、ドバイのEmirates航空などの大手があり、総数は約2400社に達する。業種は、金属、化学、製紙、エネルギー、航空宇宙、自動車関連、建設、エンジニアリング、ハイテクなどB2Bの製造業から、道路や鉄道、パイプライン、工場などの設備管理や小売・卸売業など多岐にわたる。

 日本でも岡村製作所や大日本スクリーン製造、キャタピラージャパンなど100社強が導入している。ソリューションパートナーの拡大に力を入れており、最近になって新日鉄住金ソリューションズや海外拠点へのERP導入に強いマルチブックがパートナーに加わった。着実に存在感を高めているのだ。

 そんなIFSがユーザーカンファレンス「IFS World Conference2016(以下WoCo2016)」を開催した(写真1)。会期は2016年10月24日〜27日。「欧州を中心に米州、日本を含むアジア、オセアニアなど各国から、ユーザー、パートナー1200人が参加した」(IFSのAlastair Sorbie社長兼CEO)。参加者数は2015年5月に米国ボストンで開催した前回とほぼ同じだが、開催地がスウェーデン第2の都市であるイェーテボリ、会期も寒くなる10月末だったことを考えると健闘したと言えるだろう。

写真1:IFS World Conference2016の基調講演会場の模様写真1:IFS World Conference2016の基調講演会場の模様
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 以下。そこで何が語られたのかを報告する。特にB2Bの製造業が次の一手を考えるヒントがあるからだ。今回は前編として、企業に変革を迫るデジタルトランスフォーメーションをIFSがどうとらえているかを紹介する。その実現向けたIFSの具体策は後編で紹介する。

 なお前回、前々回のカンファレンスの模様については、『IoT時代における製造業の事業モデルを提唱─アジリティ(Agility)の追求が鍵になる』と『M2M、IoTが”完全な嵐”を巻き起こす─モバイル活用こそが対処への第一歩』に示した。併せてご一読いただきたい。

「カオスの時代」をどう勝ち残るか

 WoCo2016のカンファレンス全体のテーマは「Take control of infinite possibilities(無限の可能性を制御せよ)」。初日の基調講演の冒頭、カンファレンス全体のモデレータを務めたJon Briggs氏(BBCの元記者)が、その意味を次のように解説した。

 「ブラジルの森にいる蝶の羽ばたきが米テキサス州でサイクロンを引き起こすという“バタフライ効果”のように、小さく見える変化が、やがて大きな破壊をもたらす(写真2)。我々は基本的に先行きが予測できないダイナミックな環境にいる。まさしくカオス(混沌)である。株価も、トランプ氏が米大統領選の候補になった政治の世界もだ。未来には無限の可能性(infinite possibilities)があり、それをコントロールしなければならない」

写真2:現在のカオス的な状況を象徴する「バタフライ効果」写真2:現在のカオス的な状況を象徴する「バタフライ効果」
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