[市場動向]

IoTで製品志向からサービス志向へ、”デジタルツイン”と”サービタイゼーション”を目指せ(後編)

2016年11月9日(水)田口 潤(IT Leaders編集部)

先行きが見通せない今日において、「デジタルツイン」と「サービタイゼーション(サービス化)」が鍵になるという認識を示すウェーデンのERPベンダー、IFS。「IFS World Conference2016」では、両者を実現するためのIoTの位置付けと、それを実現するための新製品「IFS IoT Business Connector(IoT BC)」や「IFS Enterprise Operation Intelligence(EOI)」を中心に説明した。今回は、デジタルツインとサービタイゼーションを推進するIFSの取り組みを中心に紹介する。

 前編で紹介した新製品「IFS IoT Business Connector(IoT BC)」や「IFS Enterprise Operation Intelligence(EOI)」をIFSが開発・提供するのは製品のラインアップ拡充という側面からは当然だ。だが一方で、これら製品は、先進ユーザーとの協業や製造/サービス業の“あるべき姿”を研究するところから得た知見が大きいようである。例えばEOIは、同社のユーザー企業であるエミレーツ航空が以前から使っていた「VisionWaves」というオランダ企業が開発元。エミレーツからVisionWavesのことを聞いたIFSが2015年7月に買収し製品化した。

 またIFSは、あるセッションで「組織の構造はhierarchy(階層構造)から、『wierarchy』に変わりつつある。組織階層を超えてプロセスを横断させる必要がある」と語り、その上でEOIに言及している(図1)。筆者はwierarchyという言葉を知らなかったが、「相互にネットワーク化され網の目上に結ばれたチームや個人から成る、自律的な組織構造」を指すようである。製造業やサービス業が目指すべき組織はwierarchyに向かうという読みのもとで、IoT BCやEOIを提供する意図があるようだ。

図1:企業の組織構造はhierarchyからwierarchyへと変わりつつある図1:企業の組織構造はhierarchyからwierarchyへと変わりつつある
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IFS Application9への移行を訴求

 とはいえコンセプトを提唱し、新機能をリリースするだけではIFSにとってもユーザー企業にとっても十分とは言えない。IoT BCやEOIといった最新機能は2015年にリリースした「IFS Applications9(IFS9)」向けであり、それ以前のバージョンのユーザー企業には絵に描いた餅に過ぎない。IFSとしては何としてもユーザー企業のIFS9への移行を促進しなければならないのだ。

 その一方でブランドの認知度向上も急務になっている。2015年末に最終ユーザー数が100万人(ユーザー企業数は2400社前後)を超えたとは言え、独SAPや米Microsoftに比べると認知度は低い。米ガートナーのMQにおいても「相対的に認知度が低いERPベンダーであり、そのため商談の席に着けないケースがある」と指摘されている。これらの問題に関してもIFSは「IFS World Conference2016(WoCo2016)」で回答を示した。

 IFS9への移行に関して打ち出したのが、IFS9それ自体のメリットの訴求と「エバーグリーン・ビジネスアプリケーション」と名付けた構想である(図2)。「IFS9のGUIである『Lobby』は、開発なしに操作や機能を変更できる。またIFS9では、ユーザー要件に適合させる方法としてカスタマイズではなく、設定で可能な範囲を大幅に増やし、さらにレイヤード・アーキテクチャーを採用した」(CTOのDan Matthews氏)。

図2:IFSがアピールする「エバーグリーンビジネスアプリケーション」。IFS Applications9の特徴である図2:IFSがアピールする「エバーグリーンビジネスアプリケーション」。IFS Applications9の特徴である
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 「これらにより、アップデート時の労力をゼロに近づけることができた。そこでIFS9では、1年から1年半に1回のサービスパックの提供と、修正パッチを適宜提供する伝統的なアップデート方法から、4半期に1回の定期的なアップデート方法に変更した。つまりIFS9はエバーグリーン・ビジネスアプリケーションである」(同)。IFS9に移行すれば常に最新のERPであり続けられるというわけだ。

 オンプレミスのERPもSaaS(Software as a Service)によるERPも、アップデートは多くの場合、コストと時間のかかるやっかいな作業。エバーグリーンのメリットは大きいが、実際、どうなのか。Matthews氏は、さらに事例に言及した。

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