[インタビュー]

変革の核はデータアナリティクスだが「デジタル倫理」の考慮が必要、米アバナードのCEO

2016年11月28日(月)志度 昌宏(IT Leaders編集部)

新興企業によるディスラプション(破壊)を引き金にデジタルトランスフォーメーション(変革)へ取り組む機運が高まっている。米GE(General Electric)のようにIoTを牽引する大企業もある。しかし多くの既存企業は今、デジタル変革に、どう取り込もうとしているおり、何を課題にしているのだろうか。アクセンチュアとMicrosoftが合弁で設立したインテグレーターである米アバナードのCEOであるAdam Warby(アダム・ワービー)氏に聞いた。

米アバナードのAdam Warby(アダム・ワービー)CEO米アバナードのAdam Warby(アダム・ワービー)CEO

−−デジタルトランスミッション(変革)への取り組みが重要になっている。“レガシー”と呼ばれるような、欧米の既存企業はどのように対応しようとしているのか。

 私は2000年3月のアバナード設立から参画し、当時の.com(ドットコム)バブルや2006年の世界金融危機も経験してきた。当時のITの課題と現在のデジタル改革の最大の違いは、テクノロジーがすべてのビジネスの内側に存在するようになったことだ。すなわち、クラウドなどのデジタル技術をベースにデータアナリティクス(分析)による変革が求められている。このことはレガシーな企業にとって、IT部門、事業部門の別を問わず重要な課題を突きつけている。

 しかし一方で、レガシーの代表例ともされる資源業界でもデジタル技術の活用で成果を上げる企業も登場している。弊社顧客の例で言えば、多国籍の鉱業・資源グループのリオ・ティントは、パブリッククラウドベースで独SAP製のERPソフトを稼働させているし、銅の生産では最大手の米フリーポート・マクモランは、採掘現場の様子をクラウド経由で中央に集めオペレーションの効率を高めている。こうした例は電力などエネルギー業界でも起こり始めている。

 こうした動きは日本でも既に始まっている。弊社の売上高が前年比27%伸びていることが、その証であり、人員を倍増したほどの勢いだ。クラウド、IoTといったデジタル技術の分野が牽引している。それも不思議はなく、世界は連動しているのだから、日本企業だけが世界と異なる動きを取れるわけではない。

 ただ日本企業が成功するかどうかは、社内のコミュニケーションやコラボレーションに象徴される“働き方”をどれだけ改善できるかと、それをグローバルに展開できるかにかかっている。例えば弊社でも、リーダー層でも米シアトルの本社だけでなく、英国やシンガポールなど世界に散らばって働いている。グローバル化の中では、こうした働き方に変わらざるを得ない。先に富士通が弊社をパートナーに世界17万人のコミュニケーション基盤を刷新した例などは、こうした動きに対応するものだ。

−−鉱山でのオペレーションの最適化と富士通のコミュニケーション基盤の刷新例では、改革の方向感が外向きと内向きで大きく異なっている。

 一見するとそうかもしれないが、両者の間には“顧客”が存在している。デジタル変革は、すべてを顧客起点に切り替える取り組みでもある。オペレーションの効率化を図る「Digital Operation」も、社内のコミュケーションスタイルを変える「Digital Workplace」もCX(Customer Experience:顧客体験)のためなのだ。そして繰り返すが、いずれにおいてもデータ分析が核になる。

−−「Digital Operation」におけるデータ分析/活用はIoTの文脈から想像がつきそうだが、「Digital Workplace」のデータ分析/活用とは、どんなデータを対象にするのか。

 コミュニケーションやコラボレーションの手段を改善できているのかどうか、経営者にすれば、それを把握したいはずだ。そのためのKPI(Key Performance Indicators:重要業績評価指標)としては、出張の頻度、会議の回数や効率などもあるが、例えば電子メールにおける「cc」の数もKPIになる。「cc」に多くの宛先が入ったメールは受け手にとってフラストレーションになるからだ。つまり、電子メールの利用状況やWebサイトの閲覧状況といったデータが分析の対象になる。

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