[OSSを理解する]

オープンソースの運用管理ソフトウェア、OSS鳥瞰図【第2回】

2017年3月16日(木)太田 俊哉(日本OSS推進フォーラム クラウド技術部会)

本誌が2012年5月に作成・公開した「OSS(オープンソースソフトウェア)鳥瞰図」を日本OSS推進フォーラムのクラウド技術部会が中心になって完全リニューアルしました。OSS鳥瞰図では、各種OSSをカテゴリーごとにまとめて紹介しています。今回は、注目度の高いカテゴリーの1つであり、多彩なソフトウェアが次々に登場しているシステムの運用管理・監視用のOSSについて解説します。「MRTG」「Nagios」「Zabbix」「Hinemos」などです。

運用監視のカテゴリー

 本カテゴリーには、運用管理と呼ばれるもののうち、システム監視を自動化し、監視設定・監視データを一元管理するソフトが含まれます。以下のような機能があります。

●各種サーバーの状態監視と監視データの収集
●障害発生時や復旧時に管理者に通知
●収集した監視データの履歴やグラフの表示

 先に上げたMTRGやcatciは、ネットワークのモニタリングが基本です。工夫すればサーバーやストレージ機器の状況も把握できますが、必ずしも期待した結果になるとは限りません。サーバー群の情報を見たいのであれば、やはり運用監視に特化したツールを使うのが便利です。

 運用監視用のOSSは数多くあります。比較的著名なのは「Nagios」「Zabbix」「Hinemos」などです。MTRGのようにSNMPで情報を得るだけでなく、多くは専用のエージェントソフトウェアを監視対象に組み込み、細かな情報を取得して運用監視サーバーに送ることで、多様なデータを得る仕組みを採用しています。エージェントを使うことでサーバーを制御できるOSSもあります。

Nagios

 以前から使われているのがNagiosです。最近の運用監視ツールはGUIベースが主流ですが、Nagiosは今も設定をファイルに書いていく、昔ながらのUNIX風の流儀を採っています。パーツ(プラグイン)を組み合わせて、監視を定義していく形です。今となっては設定が少々面倒かもしれませんが、自由度が大きいというメリットがあります。

Zabbix

図3:Zabbixの画面例図3:Zabbixの画面例
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 Zabbixは世界中で広く使われている統合監視ソフトウェアで、OSSの監視ツールでは定番の1つです。複数のZabbixサーバーを使えば大規模構成のシステムも監視できます。種々の設定により多種多様な監視ができます(図3)。例えば、監視対象サーバーのCPU・ディスク・メモリー/ネットワークの使用率や、Pingやポート死活監視、ログやコマンド実行結果の監視などです。監視対象にするデバイスが増えた際に自動的に追加するなど、管理者の作業を減らす仕組みも持っています。種々のカスタマイズにより多彩な監視機能を利用できます。

Hinemos

 Zabbixはサーバー群の監視が基本です。サーバー機器のコントロールもできますが、サーバー上で稼働するプログラムまできちんと制御できるわけではありません。プログラム=ジョブを制御するには、それに見合った仕組み、すなわちジョブ管理機能が必要になるからです。

 そこで監視機能にジョブ管理機能を付けたものが「Hinemos」です。NTTデータが開発してきたため日本語環境に対応しています((現在はHinemosアライアンスが開発を担っている)。監視とジョブ管理が同居していることで、監視でエラーになったら、あるジョブを実行するといった連携運用が可能です。さらに大規模構成向けの監視が楽になるスコープ機能なども備えています。

図4:Hinemosの画面例図4:Hinemosの画面例
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 ジョブ管理機能を持たないZabbixで同じことをしようとすると、OSSの「JobScheduler」や「jHako」などのジョブ管理ソフトを併用する必要があります。Hinemosは、メニューから選ぶだけで済むなど監視対象を比較的簡単に設定でき、分かりやすい画面になっています(図4)。ジョブ機能は、複数のプログラムを連携させたり(ジョブネット)、条件分岐させたりもできます。カレンダー機能を使えば、土休日には動かさないなどの設定が可能です。

 今回は運用監視に分類されるOSSについて、代表的なソフトウェアを紹介しました。運用監視ソフトウェアを使うことで、今まで手作業で状況を把握したり、対応したりしていたことがソフトウェアで実行できるようになります。監視対象の設定が若干必要という多少の手間はかかりますが、まずは試してみてはいかがでしょうか。

筆者プロフィール

太田 俊哉(おおた・としや)
日本OSS推進フォーラムクラウド技術部会。NEC

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