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【Special】

「指標」と「PDCAサイクル」がなければ、データマネジメントの次には進めない

2017年4月7日(金)

大半の企業が何らかの形でデータ活用に取り組んでいる一方で、データマネジメントを実践しようとしたものの、思ったように活用が広がらない、成果が上がらないなど新たな問題に頭を悩ませる企業も多い。これを乗り越えるためには、企業の競争力を向上させ、業務の効率と品質を高め、俊敏性を高めるという、データマネジメントの本来の目標に目を向ける必要がある。データ総研は「データマネジメント2017」のセッションで、データ活用を推進する方法について、業務を改善した事例をベースに解説した。

データマネジメント実践後の新たな問題とは

株式会社データ総研 コンサルティンググループ シニアコンサルタントマネージャ 小林 靖典 氏

 データ総研 コンサルティンググループ シニアコンサルタントマネージャの小林靖典氏は、セッションの冒頭で、開口一番、こう訴えた。「データマネジメントを実践しても思ったようにデータの活用度が広がらない、成果が上がらないなどの新たな問題が浮上している。データウェアハウスなどを導入してデータを“きれい”にするだけでは、価値にはならないことを知ってほしい。また、IoTなどのセンサーデータをただ集めることで価値が生まれるわけでもない。センサーデータを実際のビジネス価値に結びつけ、評価する、そこが最も重要なのではないか」──。

 思ったようなデータ活用に至らない要因の一つに、データを活用すべきユーザー部門とデータを管理する情報システム部門の間で、目的とその達成手段の共有理解ができていないことがある。ユーザー部門側のデータ活用の目的が“ふわっと”していて、どのようにデータを活用したらよいか明確ではなく、情報要求とその達成手段が見えていないため、整備したデータが陽の目を見ないことになってしまう。ユーザー部門と情報システム部門が連携し、情報要求を明確にしてデータの価値を評価し、相互に達成手段を考えることが必要となるのだ。

意思決定を支援してアクションにつなげるために必用な「指標」と「PDCAサイクル」

 データ活用する仕組みを考えた場合、以下の3つの項目を抑える必要がある。

  1. データから、より早く・より正しい事実を捉え、見えていない事象や問題に気付くことができる
  2. データから原因追求をすることによって、より適切な意思決定を支援してアクションにつなげることができる
  3. 意思決定とアクションの結果を継続的に確認することができる

 ここで大きなポイントとなるのが、「指標」と「PDCAサイクル」である。指標を考える際には「意思決定に必用なデータをどう捉えるか」が、またPDCAサイクルでは「データ活用プロセスとはどうあるべきか」が、極めて重要になってくる。

 指標の基本とは、ビジネス目標に向かってどこまで実現できているか達成状況を計測して判断できることと、組織(役割)と業務機能の階層や連鎖(もののつながりやお金のつながり)が把握できることにある(図1)。

 また、もう1つの指標の考え方のポイントとして、どのようなデータが意思決定に役立つのか、データに関する要求を定義することが挙げられる。「どのような人が」、「どのようなビジネスシーンで」、「どのような情報を」、使用すると、データ活用し目的達成できるのかを捉えるのである。

図1:意思決定に必要なデータを捉える「指標」

 PDCAサイクルに関しては、「気づき」、「分析」、「対処」、「継続による醸成」の4つを組み込み、データ活用する成長サイクルを構築することが求められる(図2)。「このサイクルがまわらないと、指標を強くするデータ活用はできないだろう」と小林氏は語った。

図2:データ活用プロセス「PDCAサイクル」

 「気づき」とは、事実を捉え、見えていない事象や問題に気づくことを指す。「人が立てた予測と実績にどれだけ差があるかを比較するだけでも簡単な判断が行える。逆に、比較する対象が何もなければ気づきは得られない。もし比較データがない場合は、知識や経験を基に比較することで、気づきを得ることができる」(小林氏)。

 続いて「分析」のためには、業務や業務プロセスの本質を考える必要がある。業務(入力業務・出力業務など)とは、インプットしたものがアクション(行動、処理)されて、アウトプットが得られるという構造であり、業務プロセスはこれらの流れが連続して構成されたものだ。小林氏は、「因果関係がわからなければ、流れもわからない。成果を左右する要素とは何かを見極めねばならない」と語る。

 次の「対処」については、意思決定スピード向上がポイントだ。データを活用することでどこまで意思決定の品質が向上するのか検討しつつ、意思決定プロセスを分解し、データによって自動化が可能な箇所の業務効率化を検討するのである。

 最後の、「継続による醸成」では、データ活用を継続し醸成させる仕組みが重要となる。データ活用は、最初のうちは都合よくデータが揃わないことが多く、なかなか上手くいかないものだが、サイクルを構築して回すことで、成熟度が上がり、企業の強みへとつながっていくことになる。

 「どこからデータ活用をスタートしたらいいのかわからないという悩みが多いが、最初から都合よくデータが揃っていることは少なく、すぐにはうまくいかないものだ。だからといって何もやらずにいたのでは、データ活用など不可能だ。まずはサイクルを構築して回すところから始めてみてほしい。それにより、だんだんと新しい発見があり、成熟度が上がっていき、最終的にデータ活用を企業の強みに結びつけることができるだろう」と小林氏は力強く語った。

まずは第一歩を踏み出すことが大事

 ここで小林氏は、データ活用に成功している2つの事例を披露した。1つ目は、製造現場の気づきと分析を意識した機能設計の事例である。通常、生データを見ただけでは、何が起きたかはわかっても、なぜそれが起きたのかまではわからない。しかしデータの気付きと分析を意識するだけで、簡単な方法でも見えてくるものがある。「各種の生データから多様な分析を実施することがポイントとなる」(小林氏)。

 2つ目は、サプライチェーン業務のPSI(Production、Sales、Inventory)バランスによる気づきの事例である。PSIのバランスが最適であることが望ましいという見地のもと、「PSIのバランスイメージ」と「点と線(物流)イメージ」の2つの指標から、気づきを得るというものだ。「簡単なイメージ図からでも気づきが生まれるという好例」と小林氏はコメントした。

 講演のまとめとして小林氏は、「ユーザー部門と情報システム部門」、「ビジネスとデータ」、「意思決定と因果関係」などといった様々な「つながりの重要性」や、PDCAサイクルを強くするための「継続による醸成」の重要さについて触れ、「まずはできるところから始めてほしい。とにかく第一歩を踏み出すことが大事なのだ」と締めくくった。


●お問い合わせ先

株式会社データ総研

URL:http://www.drinet.co.jp
koba@drinet.co.jp
Tel 03-5695-1651
Fax 03-5695-1656

 

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