[インタビュー]

「戦略や行動につながらないデータ分析など意味はない」──YellowfinのCEO

2017年6月1日(木)川上 潤司(IT Leaders編集部)

データは人・物・金に続く経営資源と言われながら、うまく活用し、ビジネス価値へと結び付けられている例は決して多くはない。様々なツールや手法が次々と出てきているのに、なかなか業務に根付かないのは何故なのだろうか。「ビジネスインテリジェンスをすべての従業員に」を謳い、独自のソリューションを展開しているYellowfin(イエローフィン)のCEO、Glen Rabie氏に話を聞いた。

 データ活用の巧拙がビジネスの成長を大きく左右することになる──。それは紛れもない事実だと言える一方で、もう随分と使い古されたフレーズにも響く。

Yellowfin(イエローフィン)のCEO、Glen Rabie氏

 1990年代の半ば以降、多くの企業がDWH(データウェアハウス)やBI(ビジネスインテリジェンス)ツールなどを積極的に導入し、様々なチャレンジを続けてきた。ある程度の成果を上げたケースもあれば、中には思惑通りにはいかずにホコリを被ることになったケースもあったかもしれない。いずれにせよ、人々はデータ活用の領域で経験を積みながら、それなりに成熟度を上げてきたと信じたい。

 ところが20年が経過しようとする今なお、「データ活用の巧拙がビジネスの成長を大きく左右することになる」と、ことさら基本的なメッセージが強調されることからすると、企業活動の大前提として根付いておらず、理想と現実との間にはまだまだギャップがあるのだと再認識させられる。

 やや上からの物言いになってしまったが、私自身もオーストラリアの大手金融機関のIT部門に在籍し幾多の苦労をした経験があるので、この分野がなかなか思い通りにいかないことは肌身で分かっているつもりだ。

 私はデータアナリストとしてデータ活用を推進するプロジェクトを手掛けていた。DWHとBIツールを駆使して、何千人という人に週次や月次のレポーティングをするような業務だ。あれこれ細かい注文をつけられて分析をし直すことも茶飯事で、その度に思ったようなパフォーマンスが出ないシステム基盤や融通の利かないインタフェースにイライラを募らせたものだ。現場から反応があるならまだしも、大半はレポートを受け取ったきりで音沙汰なし。自分の仕事が本当に役立っているのか釈然としないのもフラストレーションの元凶となった。

データを核に全員一丸になれる環境が必要だ

 こうした経験を通して私が学んだのは、「データをビジネス価値に」と一口に言っても、そこに関わる人には様々な立場や使命、問題意識があるということ。データを多角度から眺めて気付きを得たい人もいれば、実績速報を受け取ってすぐさま業務施策に活かしたいという人もいる。当人の思いとは別に、人的リソースの最適配分という観点に立てば、データ分析に時間を割くべき人と、もっと別のことに力を注ぐべき人という役割分担も考えなければならない。結果として、“データドリブン”を志向した経営を支えるには、新しいタイプのIT基盤が必要との思いを強くした。

 経営者、事業部門のスタッフ、分析のプロフェッショナル、IT部門のエンジニア…社内にはそれぞれの立場で責任を負う多種多様な人材がおり、会社をより良い方向に導くために日々議論を重ねる。ここで、そもそもデータは誰もが拠り所にしコミュニケーションを図るための“共通言語”でなければならない。にも関わらず、データが偏在したり、新旧入り乱れたりしていて、いつまでも歯車が噛み合わないということが、そこかしこで起こっている。

 大海原を進む帆船に例えてみよう。難破することなく目的地に向かって航行するには何が必要か。天候、海流、風向きといった気象条件はもとより、自らの位置、エンジン性能、海底の地形、他船の動きなどの情報を集約し、海図と照らしながら常に自船を適性にコントロールしなければならない。今でこそオートパイロットのような技術も進展しているが、かつてはクルー一人ひとりの経験知やノウハウを結集することがカギを握ったはずだ。一つの情報を前にしても、人によって捉え方や気付きは異なる。色々な意見やアイデアが交錯する中で、共通の見解が生まれ、皆が一体となりながら各自の役割を果たす。そうしてはじめて航海がうまくいく。

 企業も同じだ。ボタン一つで自動航行するような術はない。事業の実績を示すデータを集め、分かりやすく可視化し、関係者全員で共有し、知恵を絞り、決断を最適化する。ビッグデータ時代の到来で、今までは探りきれなかった領域のデータもどんどん手に入るようになってきているのは追い風だ。だからこそ、データを中心にして皆が問題意識や知見を共有し、最適なアクションを起こせるためのプラットフォームが必要だ。

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