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IIJ、水田の水管理コストをIoTで50%削減する実証実験

2017年6月19日(月)日川 佳三(IT Leaders編集部)

インターネットイニシアティブ(IIJ)は2017年6月19日、水田の水位をIoT(Internet of Things)技術を用いて遠隔管理するシステムを開発中であると発表した。2018年4月頃に始まる田植えシーズンからフィールド実証実験を開始し、2020年3月末までの研究期間を経た後に商用化する。特徴は、水田センサーが1万円以下、給水弁が4万円以下と、既存の技術よりも安価に実現できることである。

 水田の水管理は、農業経営者の仕事の1つ。水位が下がっている時や水温が高い時に、水を供給して水位を上げたり水温を下げたりする。水位は、水田に設置されている給水弁を閉開することによって調整する。現状では、多くの農業経営者が人手で水田を見回っており、経営コストの2割が水管理にかかっている。今回開発中のシステムによって水管理コストを半減できるとしている。

 開発中のシステムは、IoTデバイスとして水田(水位/水温)センサーと給水弁、センサーデータを集約するIoTクラウドサービス、給水弁を遠隔操作するアプリケーションなどで構成。農業経営者は、モバイルアプリケーションなどを使って水位や水温を確認しつつ、遠隔操作で給水弁を閉開する。ロジックを埋め込んだアプリケーションからAPIを介して給水弁の閉開作業を自動化する実験も行う(図1)。

(図1)水田の水位を遠隔管理するシステムの全体像 (出所:インターネットイニシアティブ)
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 現場でIoTデバイスと通信する手段としては、IoTデバイスに適した低消費電力の無線通信規格であるLoRaを使う。LoRaの基地局1台で、数百台のIoTデバイス(水田センサーと給水弁)を収容する。LoRaの基地局とIoTクラウドサービスの間はLTEで通信する。IoTデバイスは電池式で動作し、1年間は電池を交換せずに済むとしている。

 基地局の管理を省力化する手段としては、IIJが持つリモート管理技術で、ルーターの設定情報をインターネットから自動取得する仕組みであるSMF(SEIL Management Framework)を適用したい、としている。

 特徴は、水位センサーが1万円以下、給水弁が4万円以下と、既存の技術よりも安価に実現できることである。既存の製品は、センサーが数万円、給水弁は10万円以上という。

水管理コストの半減を目指してコンソーシアムを設立

 今回のシステムは、農林水産省の公募事業である2016年度「革新的技術開発・緊急展開事業(うち経営体強化プロジェクト)」において「低コストで省力的な水管理を可能とする水田センサー等の開発」の研究課題に応募し、採用されたものである。

 IIJを研究代表機関とする「水田水管理ICT活用コンソーシアム」の研究成果として開発するもので、水田の水管理コストを50%削減することを目指して、2020年3月31日までの3年間、静岡県の大規模経営体(営農法人)にて実証実験を行う。

 コンソーシアムメンバーの役割は以下の通り。IIJは、水田センサーの開発、LoRa基地局の運用、LTEネットワークやIoTクラウドサービスなどのインフラ提供を担う。笑農和は、給水弁の開発と、アプリケーションの開発を担当する。静岡県と農研機構とトゥモローズは、水管理コストを省力化するためのフィールドワーク、事前調査、検証などを担当する。農業経営者は、水管理コストの実測、水田センサーと給水弁の最適な設置箇所の提案、機器やアプリケーションに関する利用者ニーズの整理と洗い出しを担当する。

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