[クラウド活用パターン辞典〜Amazon Web Servicesを使い倒す!〜]

AWSのAIサービスを使って自動化を進める【最終回】

2017年8月7日(月)清野 剛史(クラスメソッドAWS事業部ソリューションアーキテクト)

本連載では、AWS(Amazon Web Services)の実用的な使い方に、様々な視点、切り口から考えてきた。今回は、これからの利用が広がっていくであろう新領域の代表格であるAI(人工知能)を取り上げる。AWSのAIサービスを実用的なアプリケーションにいかに組み込み、処理の自動化を図るかを考える。

 昨今のAI(人工知能)は、大量のデータを元に深層学習(Deep Learning)した結果のアルゴリズムを使うアーキテクチャーを取っている。そのため社内にある一般的なオンプレミスのサーバーでは、実用的なシステムを構築するのはなかなか難しい。一方でAWS(Amazon Web Services)には、世界中の様々なトランザクションを元にした大量データが準備されており、AIも日々学習を続けている。AWSでは、そうしたAIサービスを使った独自の機能やサービスを開発できる。

Amazon Machine Learningで告知タイミングを最適化する

 まずは、会員制のゲームアプリにAIを組み込んでフローを自動化する方法を考えてみよう。ゲームアプリには様々なアイテムが登場する。これらのアイテムのうち課金対象になる有料アイテムをどれだけ買ってもらえるかが、システムの維持や直接の利益につながっている。それだけに、ユーザーが「このアイテムが欲しい」と思うタイミングは、なるべく逃したくはないものだ。

 そこで例えば、アイテムの購買履歴からキャンペーン対象を変えるシステムを考えてみる。ゲームを続けていれば、そのユーザーが各アイテムを獲得あるいは購入するタイミングは一定に近くなるはずだ。つまり、アイテムがなくなりつつあるタイミングに、そのアイテムが同じ課金で増量するといったキャンペーンを打てれば、課金に対するハードルを低くできるのではないだろうか。

 こうしたタイミングを予測するためのAIサービスの1つが「Amazon Machine Learning」である。用意した教師データに基づき二項分類/多項分類/回帰分析の機械学習モデルを構築し、それを元に新しいデータに対して予測する。今回のキャンペーンであれば、ユーザーIDと購入日、アイテムIDを元に回帰分析モデルを構築すれば、「これから何日後に、どのようなアイテムを買いたくなるか」という予測が可能になる。

 この予測値から、ユーザーが買いたくなりそうなアイテムを増量または値下げするキャンペーンを、そのユーザーにターゲティングする。ターゲティングに合わせてキャンペーンを通知するには、ターゲットプッシュやモバイルエンゲージメントサービスである「Amazon Pinpoint」が利用できる。

 Pinpointでは、ユーザーのそれぞれに異なるカテゴリーのキャンペーンを簡単に打てる。その結果、どの程度が購買につながったかといったトレースや評価もできる。Pinpoint独自でも「1カ月以上ログインしていないユーザーにキャンペーンを打つ」といった簡単なエンゲージメントを組める(図1)。これらのサービスを組み合わせることで、アクティブユーザーを増やしつつ既存ユーザーの満足度も高められる。

図1:「Amazon Pinpoint」を使ったターゲッティングの例図1:「Amazon Pinpoint」を使ったターゲッティングの例
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Amazon Rekognitionで画像をタグ付けする

 次は旅行サイトを想定してみよう。最近の旅行サイトはユーザーからのレビューやフィードバックが大切な情報源になっている。Google MapやExpediaなどのサービスでは、ユーザーのレーティングやコメントと共に現地の写真がアップされていることが多い。旅先のホテルはもとより、飲食店などはカラフルでオシャレな食事などの写真が多数上がっている。それによりサイトの印象も良くなり、人気が出てくる傾向がある。

 ところが、せっかく綺麗な写真が多数掲載されていても、検索方法が店名や地名、電話番号しかない場合「その店には、こんな食べものがある」と知っていない限り、その食事の写真がヒットすることはない。このとき写真に、「ソフトクリーム」「海」「日本庭園」などのタグが付いていれば、「ソフトクリームが美味しいお店が近くにあるホテル」といった検索が可能になる。

 ただし、ユーザーは写真をいつアップロードするかは分からないし、アップロードされた全写真にタグを人力で付けるには時間もコストも掛かり過ぎる。ここは是非、自動化したいところだ。そこでユーザーがアップした写真に自動でタグを付け、キーワードによる検索を可能にする仕組みを構築してみる。

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