[クラウド活用パターン辞典〜Amazon Web Servicesを使い倒す!〜]

AWSのAIサービスを使って自動化を進める【最終回】

2017年8月7日(月)清野 剛史(クラスメソッドAWS事業部ソリューションアーキテクト)

本連載では、AWS(Amazon Web Services)の実用的な使い方に、様々な視点、切り口から考えてきた。今回は、これからの利用が広がっていくであろう新領域の代表格であるAI(人工知能)を取り上げる。AWSのAIサービスを実用的なアプリケーションにいかに組み込み、処理の自動化を図るかを考える。

 写真にタグを自動で付けるには、その写真を自動認識し、何が写っているのかを文字列で表現する必要がある。このような画像認識を簡単にできるAWSのサービスに「Amazon Rekognition」がある。Rekognitionを使えば、対象画像がDeep Learningにより解析され、そこに写っているシーンや物体、景色、表情などを表す文字列と確からしさ(Confidence、 0〜100の数値)が得られる(図2)。出力形式はJSONである。

図2:「Amazon Rekognition」による画像認識結果の出力例図2:「Amazon Rekognition」による画像認識結果の出力例
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 写真のアップロード先に「S3」のバケットを指定し、アップロード完了をトリガーにイベントを発生させる。事前に確からしさのしきい値を決めておき、例えば確からしさが70以上であれば、得られた文字列をタグとして登録する。こうした一連の処理をイベント化しておくと、ユーザーがレビューと共に旅先の写真をアップロードすれば、他のユーザーが「海が綺麗な場所」などのキーワードで該当する旅行先のレビューを検索できる。ユーザーは様々な観点から旅先を探せるため、サイトに深みが出るだろう。

Amazon Lexで注文を自動で受け付けるボットを組み込む

 スマートフォンを所持している人の多くがSNS(Social Networking Service)を楽しんでいる。これをビジネスチャンスととらえ、様々な企業が専用アカウントを作成し情報を発信したり、自社サイトに誘導したりしている。これをもう1歩進め、SNS上にボット(Bot)を作成し、SNS上で注文までを受け付けてしまい、ネット上の出会いをコンバージョン(成約)にまで昇華することを検討してみたい。ここで使用するAIサービスが「Amazon LEX」だ。

 Amazon LEXは、自然言語処理によりユーザーとコミュニケーションを取りながら目的の処理まで誘導できるボットを作成するためのサービスである。バックグラウンドでは、米Amazonが展開する音声アシスタント「Echo」に搭載されているプラットフォーム「Alexa」と同じ機能が使われており、テキストだけでなく音声にも対応できる。一般のWebアプリの他にもデフォルトでSlackや Facebook Messengerなどに結果を配信(Publish)ができる。音声の場合、Twilioにも配信できるのでテキストと同じ処理を電話でも実行できる。

 プロセスのバックグラウンド処理は「Amazon Lambda」で実行する。例えば、注文内容をデータベースに保管・処理しつつ、CloudWatch Logsで会話の内容やエラー、聞き間違い、認識間違いを分析フェーズに回し精度を高めるといったことが可能になる(図3)。Amazon Machine LearningやPinpointを組み合わせれば、ナーチャリングを含めて、より多くのビジネスチャンスを獲得できるのではないだろうか。

図3:「Amazon LEX」におけるバックグラウンド処理の例図3:「Amazon LEX」におけるバックグラウンド処理の例
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クラウドのメリットを活かし“やってみる”姿勢が重要

 冒頭で述べたようにAIはまだまだ“これから”の分野である。上記で示した仕組みが唯一の正解というわけではない。皆さんのアイデア次第で色々な発展の可能性を秘めている。AIを実用的なシステム構築に組み込み人による判断を減らすような自動化フローを含め、どのような使い道があるのかを考えてほしい。

 クラウドの特徴の1つに「手軽にトライアンドエラーができる」という点がある。アイデアが浮かんだらAWSを使って“やってみる”という姿勢が重要だ。上手く行かなければ削除してしまえばいい。AWSは無料枠も多く提供されているだけに是非、アイデアを形にして欲しい。本連載が皆さんのシステム構築の一助になることを願っている。

筆者プロフィール

清野 剛史(せいの・つよし)
クラスメソッド AWS事業部ソリューションアーキテクト。北海道札幌市にてサーバーサイドプログラマー、フロントエンドエンジニアなどを経て2014年7月よりクラスメソッドに参画。AWS全般のコンサルタントを中心にIoT、AIなどの新規技術のR&D事業にも従事する。好きなAWSのサービスは「Lambda」「AWS IoT」。

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