[オピニオン from CIO賢人倶楽部]

安全とコミュニケーションを考察する

2017年9月11日(月)CIO賢人倶楽部

「CIO賢人倶楽部」は、企業における情報システムの取り込みの重要性に鑑みて、CIO(Chief Information Officer:最高情報責任者)同士の意見交換や知見を共有し相互に支援しているコミュニティです。IT Leadersは、その趣旨に賛同し、オブザーバとして参加しています。同倶楽部のメンバーによるリレーコラムの転載許可をいただきました。順次、ご紹介していきます。今回は、東京ガスエンジニアリングソリューションズ 取締役専務執行役員 エンジニアリング本部長 礒村典秀氏のオピニオンです。

 まず筆者の近況を紹介させて頂くと、現在は東京ガスを離れて2015年度に設立された東京ガスエンジニアリングソリューションズ(TGES)に勤務している。TGESが担うのはガスに関わるプラント建設やその運用であり、筆者は液化天然ガス基地やガス導管の建設、熱・電気のエネルギー供給、マッピングシステムなど携わるエンジニアリング本部という部門を担当している。

 この職務において、またTGESにとって、最優先すべきことは安全の確保である。ただ、よく考えるとこれは業種や職務にかかわらず共通する普遍的価値だと思う。そこで日頃考えていることの一部を本コラムに投稿させていただくことにした。なお実のところITの仕事から離れたわけではなく、新会社であるTGESの業務システム開発にも関わっている。この点で引き続き、よろしくお願いしたい。

 さて「安全」という言葉の意味や定義を考えると、これは難しい。35年ほど前、学生時代に恩師が平易に教えてくれた言葉がずっと記憶に残っている。辞書で引くと「安全=危険がないこと」とあり、禅問答のような表現でとらえどころがない。しかし英語を使って補助線を引くと、意外に分かりやすくなるのだ。

 すなわち危険をリスクという言葉に置き換えると、「リスクがないこと」となる。リスクは危険度という確率であり、これがゼロとなることはない。つまり、安全はあり得ない状態と理解できる。では、そのあり得ない状態を確保するとはどういうことか。筆者は、リスクという確率がゼロでないにしても、それを許容できる、あるいは受け入れられる状態が目指す安全であると考えている。

 例えば信号機で考えよう。赤信号は誰もが「安全ではない、危険である」と感じるが、青信号は人によって感じ方が違う。青信号でも左右をしっかり確認して横断歩道を歩く人がいるし、まったく左右を見ずに自転車を飛ばして通過する人もいる。これはリスクの感じ方や捉え方が人によって異なる、あるいは慌てている、急いでいるなど安全という状況判断が個人や状況毎に異なるからだと思う。

 そんな状況で多くが安全だと感じる状態を確保するには、対象となる「現場」に潜む様々なリスクをいかに見抜き、低減できるかがカギとなる。そのためには豊富な現場経験とルール順守をベースとした人作りが大変重要だが、その現場にいる人々が互いに気遣い、誰か気づいた人が「危ないよ」と一声かけることも、リスクの低減に役立つ。「おはよう」、「ご苦労さま」といった日頃の挨拶を愚直に励行することによって、風通しの良い現場を作ることの大切さも、そのあたりから来ているように思う。

 プラント建設でもシステム開発においても、同じ価値感を共有し、慌てない、急がないよう必要な時間と予算を用意し、さらに関係者間のコミュニケーションを促す。そうしてリスクを見抜き、それを低減できるようになる。そんな組織や風土作りが管理者、経営者の重要な役割の1つであると認識している。

東京ガスエンジニアリングソリューションズ株式会社
取締役専務執行役員 エンジニアリング本部長
礒村 典秀

※CIO賢人倶楽部が2017年9月1日に掲載した内容を転載しています。

CIO賢人倶楽部について

大手企業のCIOが参加するコミュニティ。IT投資の考え方やCEOを初めとするステークホルダーとのコミュニケーションのあり方、情報システム戦略、ITスタッフの育成、ベンダーリレーションなどを本音ベースで議論している。
経営コンサルティング会社のKPMGコンサルティングが運営・事務局を務める。一部上場企業を中心とした300社以上の顧客を擁する同社は、グローバル経営管理、コストマネジメント、成長戦略、業務改革、ITマネジメントなど600件以上のプロジェクト実績を有している。

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