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[インタビュー]

電子領収書のスマホ対応を実現―電子帳簿保存法の規制改革に挑む

コンカー

2017年9月12日(火)杉田 悟(IT Leaders編集部)

2005年、e文書法が施行され、領収書などの保存文書の紙から電子への道程が引かれた。しかし、意外に厳しいルールに意思を折られ、実際に保存文書の電子化に踏み切る企業はごく一部に限られた。2015年、2016年と相次いで電子帳簿保存法に規制緩和が図られたことにより、ようやく電子化が本格化してきた。この規制緩和の流れを強力に推進してきた企業のひとつにコンカーがある。同社は1社でも多くの企業がペーパーレス化を実現できるよう、2017年8月には「領収書電子化 完全ガイド」の提供を開始している。三村真宗社長に、規制緩和への取組み、コンカーがペーパーレス化に果たす役割を聞いた。

導入意向もシステム面での課題あり

(図2)領収書電子化の導入意向(出所:コンカー資料より 日本CFO協会「改正電子帳簿保存法、企業の取組み状況の実態調査」
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 日本CFO協会が2017年7月に行った調査によると、領収書の電子化にメリットを感じる人の割合は91%。領収書電子化の導入意向は、社員数5000人以上の大企業で54%、5000人未満の企業で42%、全体で46%と領収書電子化に前向きな企業が増えているという結果が出ている。

 その導入意向が実際の導入になかなか結び付かない要因のひとつとして考えられるのが、システム面での課題だ。経費精算システムは自社開発している企業が多く、それとスキャナーをシステム連携させるための開発が必要となる。改ざん防止のために必要とされていた電子署名については規制緩和で撤廃されたが、タイムスタンプは依然必須となっている。更に、電子領収書を保管するための画像管理システムなど、領収書の電子化に対応するには、追加の改修コストが意外とかかるのだ。

 そこでコンカーでは、システム開発を最小限に抑えられるクラウドサービスを中心に、税務署への申請から運用までを網羅したワンストップサービスを、新たに開発したサービスとパートナー連携によって用意、領収書電子化をこれで促進させようと考えている。

(図3)コンカーによる領収書電子化実現の全体像(出所:コンカー資料)
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 税務署への申請と業務設計については、コンカーのクラウド型経費精算サービス「Concur Expense」の導入パートナーでもあるグローウィンパートナーズおよび電子帳簿保存法を担当した国税OBによるSKJ総合税理士事務所の2社と提携、パッケージ化して提供する。

 経費精算はConcur Expenseが担うほか、米国で新たに開発したタイムスタンプ機能を提供する。電子化デバイスとの連携はAPI連携できるようにし、電子入力したものが正しいかをチェックするアウトソーシングの監査サービスも2種類用意した。

 「領収書監査サービス」は、領収書画像と入力内容の整合性を確認するサービス、「規程監査サービス」は、それに加えて、企業の経費ポリシーとの整合性を確認し、e-文書法に対応したサービスとなっている。

 また三村氏は、「領収書電子化により業務の効率化を更に推し進めるために、法人カードを導入する企業が増えている」としている。法人カードと領収書の電子化により、経費精算処理の自動化が進むというのだ。

 従来は、経費を現金で支払い、領収書を紙でもらい、それを財布にため込んで、申請の際に領収書を申請用紙に糊貼り、申請システムに手入力したものを紙に打ち出し、それを上長に回覧して判子をもらったものが経理に回って、その用紙が7年間保管されるという工程を経ていた。

 法人カードを導入したうえにコンカーのワンストップサービスを導入すると、法人カードで支払い、受け取った領収書をスマートフォンで撮影すれば、あとは法人カードからのデータをバックエンドで自動入力し、上長の承認も電子承認で行われる。金額の入力ミスもなくなり、紙の領収書や申請書が不要なペーパーレスが実現するというわけだ。

(図4)従来と電子化後の経費精算フロー(出所:コンカー資料)
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 ただし、現実的な運用としては、受け取った領収書を撮影したらその場で捨ててしまうというのはリスクがある。例えば、領収書を撮影する際にはサインが必要など領収書の電子化にはいくつかのルールがある。電子化対応したものが、ルールに則っているかを確認したうえで処分するのが間違いのない運用だとしている。

 コンカーが自社導入した事例では、紙の領収書はスマートフォンなどで撮影したのちも捨てないで取っておいて、毎月電子入力されたものと紙で相違がないか監査した上で1カ月分を処分するというスキームを取っているという。

 このように、新たなシステム開発の投資なしに利用できるワンストップサービスが、企業の領収書電子化への取組みを一気に前進させるものとして、コンカーでは期待をかけている。

 無論、コンカーが提供するサービスのほとんどが、他社からも提供されているもので、複数のサービスの組み合わせで実現するという選択肢もある。しかし、オンプレミス、クラウド、コンサルなどのサービスを個別に契約して運用していくとなると、担当者の負担も大きくなる。できるだけ手間とコストを掛けたくない場合には、コンカーが選択肢の有力候補になる得るという話だ。

 また、三村氏によると、今回発表したのは領収書の電子化について対応したサービスだが、今後は領収書同様「多くの企業が紙原本の保管に苦労しているといわれる請求書についても対応していきたい」との考えを示している。請求書は、領収書とならぶ電子帳票保存法の主役。こちらの電子化対応も実現すれば、オフィスのペーパーレス化、業務効率化を更に促進することになりそうだ。

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